KAWTHAUNG
 
観光に冒されるということ

 タイのソンテウ(乗合バス)のおじさんは降りるところを教えてくれると言いながらまったく声をかけてくれなかったので振り出しに戻ってしまうし、舟は400Bと吹っかけてきた。舟を降りる以前から子供たちがわんさと集まってきて「ガイドをさせろ!」とどこまでもついてくる。乗合タクシーと交渉すると、子供二人が「フリー!フリー!」と言いつつ荷台に乗り込んでくる。最後には結局子供たちもガイド料をせびる。旅行にこういうトラブルはつきもので、それがイヤならアジア旅行などやめればいいのだが、このときはバンコクを離れた田舎町の人のよさを噛みしめていたときだっただけに残念だった。ただ、当時の僕に解っていなかったのは、最初の舟の料金を言い値で折れたことがすべての原因だということだった。その「カモ」情報は船頭からガイドへ、そしてドライヴァーへと次々に流されてゆく。

 やっと誰も彼も追い払ったあとでビルマ料理を試してみるために入ったホテルのレストランのお兄ちゃんにメニューを返して「ビルマ料理はありますか?」と訊いた。彼は零れる微笑で「ビルマ料理が食べたいんですか!? ありますとも!」と厨房に駆け込み、大きな明るい声でカオスウェイ(ビルマ風焼きそば)の注文を通していた。
 夕方の舟でタイに引き揚げるのだと言うと、彼は残念そうだった。「今度またぜひ来てください、待っていますからね」―彼のまっすぐな瞳だけが、観光に冒されていない清涼な空気を漂わせていた。


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footprints

寝釈迦

ビルマの寝釈迦には穏やかな彩色が施されているので、他所とは印象がずいぶん違う。
お寺への道

未舗装路を抜けると、小さなお寺が。

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