KAMPONG CHAM


バスに飛び乗って着いた

 旅行先でバスを見ると乗り込みたくなる。どこか知らない街に向かうとき、レールがあらかじめ引かれている鉄道や完全予約制の飛行機、目的地を告げないと動かないタクシーやハイヤー、バイク・タクシーと違って、バスは未知に最も近い場所へといざなってくれるように見えるからだ。プサー・トマイの向かいにあるプノンペンのバス発着所で時刻表を手帳にメモしていて、突然発作的に、何も考えず乗り込んだバスの終点は、コンポンチャムだった。
 カンボジアでは、まださほど旅行者ずれしていない地域では、人々の視線をけっこう集めてしまうことがある。パイリンもそんな街だったが、それよりはずっと大きいこのコンポンチャムでも、宵の通りを散歩すると物珍しげな表情が僕の歩幅どおりに右から左へ、左から右へと向けられた。でも、この街はやっぱり首都プノンペンからほど近い。舗装も行き届き、建物の数も多く、物資もそろっている。熱が出てきたので入った薬局の店員は英語で対応してくれたし、レストランの数も豊富だ。
 劇的に変化しているというプノンペンの話はしばしば耳にする。だとすると、コンポンチャムもずいぶん変わったのかもしれない。街が小さければ、その面積が塗り替えられるのはあっという間だろうから。ましてや首都近郊の街である。
 突然乗り込んだ街のことなので、僕はこの街のことをほとんど知らない。ただ、チャム人が川を港として使っていた街なのだということはのちに読んだ。それくらいがちょうどいいのかもしれない。この情報過多な時代にあって。



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footprints


郊外のクメール遺跡
内部はひんやりしている
参道のヤシが整然と
日本の協力でできた大橋
プサー・トマイ(プノンペン)の小型版のような市場
メコンの雄姿


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