O SMACH
 
天空

 空が、僕らを覆っていた。二階建ての建物が一軒もないこのオースマック村では、空から降り注ぐ光が、視界の多くを占めて夕闇を迎える。街頭のない夜闇の色は濃いが、TVにも飽きたのか、軒先でぼんやりしている村の人々の視線が明るいので、散歩も心地よい。

 北カンボジア国境の中では唯一外国人に正式に開かれた国境で、タイに接した国境はポイペト、チャム・イェム(ココン)、パイリンとこのオースマックに、カジノがある。カジノが非合法であるタイからの客が日々押し寄せ、一種独特な雰囲気を放っている。両国境の途中にカジノはあり、ホテルを兼ねているため、オースマック村の方に宿泊する客は殆どいない。

 この村の最寄の町は、シソフォン方面へ向かう道の途中になるサムロンと、北カンボジア国境と平行して進むアンロンヴェン。後者は、ポルポトが死去して自己解体するまで、クメール・ルージュが最後の砦としていた町だ。おそらく、このオースマックは長らくその脅威に晒されてきたことだろう。ただ、タイ国境があまりにも近いため、殆どの住民はタイに逃れた。今のオースマック村は、カンボジアに平和が戻ってからできたものだという。

 それなのに、あるいはそれだから、なのか、オースマックの人々の暮らしぶりは素朴にあったかい。





 名を尋ねると、「うーん、ナムトク(滝)としか…。村人たちはみんな『ナムトクに行ってきた』と言えば、ここのことだって解るよ」との、モトバイのおっちゃんの返事。カジノのほかには何一つ観光客が飛びつきそうなものもないこの周辺で、最も誇れるものが、この滝だと聞く。たしかに、相当な大きさの岩盤に流水や降雨の影響が作った穴があちこちに口を開けて水を湛えている姿は圧倒的な存在感で、見ごたえは充分ある。
 夕方の散歩のつもりで、モトバイのおっちゃんに勧められてサンダルのまま来た滝だったが、ここへと続く細道の入り口には兵士が来訪者のチェックをしていて、「すみませんが、どちらの国のお方ですか?」と、やたらとうまい英語で話しかけられて、激しい違和感を覚えた。


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footprints


村の子供たちは、1枚写真を撮ってあげると、仲間を呼んできた。
市場にて

他所に比べて子どもの姿が多い。
カンボジアでは子どもが働いている姿をよく見かける。
タニシが売られていた

僕も子どもの頃、母の郷里でよく食べた
吊るされたバナナに食指が動く
国境近くにあるレストラン

なべ料理を堪能した。
痛そうな看板

カンボジアの看板は概して妙なところでリアル。
滝の入り口

左の小屋で兵士の流暢な英語を聞いた。
滝の岩に刻まれているのは経文だろうか?
オースマック国境

フォーリナーに慣れていないので、チェック時間が長い。
カジノ@

立派な門が異色。
カジノA

こちらもご立派。
カジノの入り口

オースマック村とはまったく別世界。

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