POIPET
 
掃き溜まった奴等

 この拙サイトの各処で書いたように、このポイペトの国境に、僕はこれまでいい思いを抱いていなかった。おそらくこの意見に同調していただける方も多いのではないだろうか。しかしながら、それだけに心の片隅でいつも気になる存在ではあった。一度も宿泊するでもなく市場に立ち寄ることさえしない町を毛嫌いするのは道理が通らない気がしていたし、それに何より、そういう場所に珍妙な興味を持ってしまうという特性も、旅人は心のどこかに抱えているのだと、僕はそう思っている。

 アランヤプラテート国境(タイ側ゲート)からひっきりなしに流れてくるリヤカー引きの列、トゥクトゥクを降りるとすぐさま傘を差しかけてきて、あるいは「ソーム・ロァイ」(100リエルお恵みください)と手を合わせながら、金をせびる少女たち、偽者の観光ガイドの男たちとおかしな額を要求するカンボジアのボーダー職員、国境を越えてすぐのロータリーに待ち受けているぼったくりピックアップ・トラックやバイクタクシーの山。いつものとおりのポイペト。国境の隔てるもの大きさをいつも目の前に突きつけられる。こんなところに綺麗なカジノが建ち並び始めてからはさらに頭がくらくらしてしまう。
 前の晩、寝ずに朝一番のバスでアランヤプラテートに着いた僕は、とにかく安眠を求めて宿で水浴びしたあとベッドに倒れこんだが…はたして、使ったバイタクの兄ちゃんが呼びもしない女を連れてきて、追い返すと謂れもない紹介料を請求してきて、ホテルのボーイがマリファナを買えとしつこく食い下がってきて、とにかくいらないとドアを閉めようとすると「覚醒剤もあるぞ」と部屋に押し入ろうとして…とにかくそういうノックにひっきりなしに起こされ、終いには食事をとりに出かけるのさえ億劫になってしまった。
 旅人の勘というのは、ばかにならないのだ。

 それでも、「ああ、やっぱり市場くらいには行っておくんだったな。それはでもまた次の機会に…」と。あれ? 自分自身また行くことを確信しているんじゃないか。僕はカンボジアに、よっぽどケチをつけたくない人間らしい。


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footprints


2004年訪問
街の様子

奥はタイのアランヤプラテート。
鄙びた雰囲気
国境ゲート内は物売りでにぎわう
リヤカーを引く少女と国境カジノ

あまりの落差にくらくらするのがこの国境。
カンボジア側にも立派な門ができた
タイ側近くから見た国境の様子

雰囲気が一変する。
2001年訪問
国境門ができたばかりの頃
国境ロータリーにはまだ大混雑は訪れていない

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