東京
 

首都

 東京がはっきりと他の日本の都市と違うのは、この街が唯一の多チャンネル都市である点だ。例えば、代官山によく繰り出す若者たちが池袋のことをほとんど知らなかったりすること。通い慣れたルートしかよく判らないので、携帯で駅スパートにアクセスして目的地までの経路を確かめることが平均的であるような大都会。だからだろう、関東人は僕らの目には、それぞれがキャラクタライズされた自分を演じて生きているように映る。「その街を選ぶオレ」や「ワタシ」が自然に自身のありように反映してしまうのは当然であろう。

 しかしやっぱり、どこかしら自分という個性を名刺にして、自身の暮らしを戯画化した日々を送っているような気がするのだ。おそらく、ホンネ文化に生きる関西人の関東に対するカウンター意識はこうしたところから生まれるのだと思う。でもだからこそ、東京というパワーはすごいと思う。どちらかというと県民性のようなものが町を活性化させてゆくスタイルで、威勢のよさを盛り上げる他の地方都市とは一光年ほども離れたところで、東京――あるいはTokioと称したほうがいいのか――は住民でさえ捉えきれない巨大な陰影をもって鼓動している。首都としかいいようのない街。

 それが、僕にとっての、東京。


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