CHACHONGSAO
こちらも、1時間の小旅行 旅をしていた7年前の時刻表では到着に2時間かかるようになっていたチャチューン・サオに、ものの1時間弱で着いた。エアコン席の料金は35バーツ。これは、タイのタクシー初乗り料金と同額である。 チャチューン・サオといわれても知っているいことといえば、大きな工業団地があって、日本人の姿も見るという噂だけ。古都アユタヤーや随一の歓楽街パタヤーのほか、タイで最も大きい仏塔があるナコン・パトム、漁港とナンプラー作りで有名なマハーチャイ、タイで2番目の人口を誇るチョンブリー、最近日本人が急増して日本人学校も建設されるというシーラチャーなど、バンコク周辺にも数々の名所・著名になりつつある場所が点在するせいか、ここチャチューン・サオのインフォメーションはほとんどない。 たしかに、トゥクトゥクのおじさんに「どこか、観光客が行きそうなところに連れて行ってほしい」と伝えても、「いやー、チャチューン・サオにはほとんど何もないよ」との返事。けれど、それでいいんだ。真昼の直射日光がきつくて、夕方からの風が涼しくて、人々の表情が柔らかくて、つまりバンコクでなければ、僕にとってはそれでいいんだ。観光客が多い地域で何度も遭遇する「日本人なのか? 日本の女はきれいだよな! タイの女はどうだ?」というようなお決まりの会話に巻き込まれることもなく、普通のタイ人としての生活の中に紛れ込んだような感覚でいられることが、休日のなによりのリフレッシュになる。 排ガスにまみれない屋台が並んで、縁日のような家族づれの笑顔があって、川沿いにレストランが並んで、僕らはそれを傍目に眺めて静かでほの温かな気持ちになる。 |
ワット・ソートーン 街外れのホテルの窓から外を覘くと、そこがバンコクから80kmちょっとしか離れていない土地なのだとは信じられないような風景だった。近くは一面、南国の強い色をした緑。その向こうの街の方に、周辺からは考えられない高さの建物が見えた。仏塔のようでもあるが、様式が違う。フロントに尋ねると、それはお寺なのだという。さっそくバイタクに跨った。 ワット・ソートーンは名所らしいものがほとんどないチャチューン・サオにあって、唯一の威風堂々たる観光地であろう。僕がお寺の建物をそれと認識できなかったのは、大理石づくめの白く輝く壁と、八角形も利用した洋風も感じさせる建物の形のせいだ。日本の城でいうと、織田信長の伝説にある安土城のようなものではないだろうか。類を見ない姿に舌を巻く。また、人々が仏像に手を合わている御影石の床には、魚や蟹や半魚人などのレリーフが施されており、外からの光も明かりとりの役目をはたしている吹き抜けの上階から取り入れられ、これまでタイのお寺と聞いてイメージしてきた空間とはおおきに趣を異にしていた。 訪れた日の前日が、ウィエン・ティエンのある日だった。その夜の様子を見ておけばよかったと悔やんだが、正直なところ、お寺で何かを見なかったことについてこんなに後悔したのは初めてのことで、自分でも意外だった。 ワット・ソートーンには古い時代の太鼓とともに銅鑼が飾られている。この銅鑼の真ん中の膨らんだ部分を撫でると徳を積むことができるという。訊ねてそれを教えてくれたタイ人のおばちゃんの笑顔は晴れやかで、真昼の熱さを一瞬忘れさせてくれる風のようだった。 |
バンパコーン川 タラートの横からトゥクトゥクが橋を渡り、一気に視界が開ける。夕暮れの風が肌に心地よい。チョンブリーの近くまで流れてゆくと聞いて、この川がバンナー=トラート線を走るバスの車窓から何度も見た大きな川であることに気づく。 翌日訪れた場所には、銃を突き出すことのできる穴を設けた街壁の址を訪ねると、道を挟んだ向かい側はバンパコーン川になっている。草刈りのおばちゃんたちが木陰で涼をとっている横を川に出てみる。イルカのモニュメントが置かれているが、川イルカが出るのだろうか? 階段を降りると川面のすぐ近くにまで出られる。これくらい大きな川になると、さすがに誰も泳いでいる姿は見ない。流れもけっこう速いようだ。 夜になると川べりのレストランに火が灯り、酒を酌み交わす声が響くのだろう。そんな一人になるのもいいが、この川にボートが出ているなら、今度はぜひそちらで川風に吹かれてみたい。 |
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子どもたちの伝統舞踊に心が和む | |
ワット・ソントーン 圧倒的な姿は、もっと多くの観光客に知られていいはず。 |
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ワット・ソントーンの床 大理石に描かれた絵柄はどれも目を引くものばかり。 |
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夜のショッピング・センター | |
街壁の跡 | |
向こうはバンパコーン川 | |
公園の昼下がり 暑過ぎて誰もいない |
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日本食料理店 工業団地があるだけに、日本食もある。 |
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駅前の汽車 | |
バンコクからの近郊列車 | |
地方にも出店の多いカールフール |
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