TRAT

どこまでもアクセス・ポイント

 長らくこの街について何もアップしてこなかったが、トラートに数回訪れたことがある。ここがタイからカンボジア南部へのアクセス・ポイントになっているからだ。バンコクからバスで約5時間、このトラートに到着して一晩を過ごし、翌朝ソン・テゥで国境の町ハート・レックからカンボジアに入れば、カンボジア側のココンはすぐそこである。アランヤプラテートからポイペトに入るルートでは、その先の道が長らくいい状況ではなかったので、ココンから海に出てシアヌークヴィルに入ることのできるこのルートの穏やかさが好きだった。

 一度、会社の同僚たちとこの街を訪れたときのことだ。それまでひとり旅では適当に宿を決めていたが、女性がいたのでそのときにはいくつかの宿泊施設を回り、部屋を見せてもらうことにした。その中の一軒、明らかな安宿を訪ね、試しに部屋に案内してもらう際、僕だけが部屋に入り、残る3人は部屋の戸口で僕の様子を窺っていた。大切な水回りのチェックをしようかとホン・ナーム(浴室兼トイレ)に近づくと、開きっぱなしの扉の向こう、まだ明かりをつけていない室内の床が波打ったように見えた。さすがにぎょっとした次の瞬間。床を埋める大量のゴキブリが我々のいる方に駆け寄ってきた! 同僚女性は蜂の巣をつつく大騒ぎで、ふだん利発的で冷静な彼女の姿に一種畏敬の念を抱いていた我々は、大きな笑いに包まれた。そして、いつものひとり旅と変わらぬ、風采の上がらない宿に落ち着いたのだった。

 トラートはまた、近くのレーム・ンゴブ港からチャーン島・マーク島・クット島など、まだ開発の手が入り切っていない自然豊かな島へ渡るためのアクセス地でもある。今度は、これらの島で止まったような時間を過ごし、ひたすら波音を聞きながら過ごす足掛かりとしたい。…と、どこまでも中継地としての街なのであった。


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footprints

市場

夕方からの賑わいが縁日気分。
市場のお菓子売りのおばちゃん
映画館

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