3 RIAM THOONKHAM



観光と人

 チェンセーンの町から原付バイクを思いのたけとばしてゴールデン・トライアングルことサーム・リアム・トーンカムに向かっていると、途中で道の大きさに合わない大型バスが何台か僕の横を猛スピードで追い越してゆく。観光客を乗せたVIPバスは名所旧跡の類を点と点で結んでゆく。そのワープ航法の最中に人々の顔や草花や風があることを知らずに。
 ヴュー・ポイントは高台のいい位置に取られている。ここに民族衣装を着た少女たちが待っていて、観光客と一緒に記念写真を撮ることで生計を立てている。もちろん生え抜きのかわいい子である。中国人が土産物屋に鈴なりに集まっている。

 帰りの道中、民族衣装のおばさんとすれ違った。彼女らはたいていの場合カメラを向けられるのを嫌がる。そういう被写体に向けてシャッターを切ることが僕にはどうしてもできない。おそらくカメラマンには向いていないんだろう。その脇を彼女らが飼っているのであろうか、犬があとをついてきた。思わず僕は鞄からカメラを引っ張り出す。右がその写真で、手前がタイ領土、真ん中の木立ちがポツポツ並ぶ中州のような岸がビルマ、その奥に霞んでいる森のある土地がラオスだ。しかし、犬にとっても民族衣装のおばさんにとっても、そんなことはほとんどどうでもいいことだろう。犬は僕が餌を与えないことが解ると鼻を鳴らして歩き去った。


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