PHUKET




旅でも生活でもない日々

 縁あって、プーケットでしばらく過ごすことになった。バンコク周辺以外のタイの土地で、こんなに長く時を過ごす機会が持てたのは初めてのことである。

 プーケットは今やメジャーな、新婚旅行に人気の一大ビーチ・リゾート。そんな地に、まさか自分がハネムーン状態で滞在するとは思ってもみなかった。それも当然であろう。僕たちは披露宴後すぐに、バンコクを襲いつつあった洪水のため、空港で退避できる場所を探した結果、空席がある便がここプーケットになんとか見つかったといういきさつで降り立ったのだから。

 旅ではなく、かといって生活しているわけでもないプーケット滞在。もちろん、その視点だって変化する。ビーチで泳いだり、シーフードに舌鼓を打ったりもするけれど、朝起きたらまずどこで朝食をとるのかという選択と、バイクのガソリン状態はどうなっているのかをチェックすることから始まる毎日は、おっとりした顔をして始まり、安らかな顔をして眠りにつく。ある日は顎から滴る汗を水勢のよいシャワーで流し、ある日はバルコニーから激しいスコールを見守る。透明な空気と静けさ、日向と日陰の温度差、毎日聞こえてくる近くのイスラム寺院からのアザーン(イスラム教の読経)、タイ人と西洋人がいっしょくたになった光景、海の近くでも磯臭さのない海風。雨上がりの夜は、バイクを駆れば、山肌の空気が寒い日もある。

 この街に来たのは13年前。しかも、ラノーンからやってきたその夕方からプーケット・タウンに1泊だけして、次の日にはもうハジャイに向けて移動を始めていた。その頃の僕にはリゾート地よりも、癖の強い街の鼓動を感じることが楽しくて仕方がなかった。当時は旅の通過点の一つでしかなかったこの街に、夫婦となってやってきた僕たちだが、あるいは、ハネムーンにお似合いの街に過ごす資格のようなものが、風変わりな形で与えられたのかもしれないと感謝している。









=1998年の記述=

イスラムの匂い


 有名なパトン・ビーチをはじめ、僕はいまだにプーケットで海を見たことがない。一人旅をしていると、どうしても大事なものを肌身離さずに自己管理しなければならないから、人で混みあう海岸ではのんびり遊泳というわけにはいかないことが多いからだ。日本でもシーズンにはそうであるように、海はどちらかというと、みんなでわいわいがやがややるために行くところ。

 そんな僕にこの街を語る資格なんてきっとないが、プーケット・タウンで面白く感じたのは、イスラムの匂いだった。チュンポーンやラノーンではまだ感じられなかった南部らしさが漂い、歩道のつくりが写真のようになっていたり、ハラル・フードの看板が目立ち始めたりするようになっている。コロニアル風に仕上がった真っ白な建物の印象も、最南部に近いハジャイよりも、ペナン島のジョージタウンに近い感じがする。

 80年代には秘境のハネムーン先だなんて謳われていたプーケットの、変容した今の喧騒の姿を見ないでおくのがいいかもしれない、と今では思う。




ラワイ・ビーチ

 ビーチとはいっても、ここは船着き場と表現した方がいいだろう。新旧のボートがずらりと並んだ様子は、プーケットが海と密接に結びついていることを違った意味で教えてくれるはずだ。近くの島まで、交渉して渡ってみるのも面白いだろう。

 この海岸線沿いに道路が並走しており、眺めがよい。浜と反対側にはレストランやバーが並んでおり、ここのローカル・シーフード店「ノーン・ピム」はそこそこお薦めである。ただし、店員はほとんどやる気なし。他の店について老婆心ながらご忠告するなら、店先に立った女性が英語で盛んに声をかけるような店は敬遠した方が外れ籤を引く可能性が少なくなる。行きずりの旅行客だけを相手にするようなレストランはあまり信用できないのは、日本でも同じことのはず。また、バーにしても、有名なビーチのそばの店とは違い、BGMの音量にしても穏やかで控えめ。宿泊できる場所も、海岸沿いだけではなく、ウィセット通り南端沿いにもいくつかあるし、コンビニや小さなロータスもあるので便利だ。

 実はこのラワイ、他のビーチとまったく違う特別な一面を持っているのだが、それは、「チャオ・レー」と呼ばれる海のジプシーの村落があることだ。ウィセット通りの南の突き当たりは桟橋になっているが、そこを左に折れて未舗装路を入っていくことができる。少し入ると貝殻を使った土産物屋や魚介類などを売るちょっとした市が出ている。そこをさらに奥に進めば、チャオ・レーたちのコミュニティーがあり、子どもたちが水遊びしていたり、大人たちがごろ寝をしたり、船の修繕をしていたりするのを見られる。

 チャオ・レーは主にマレーシア方面から来た人々と、ビルマ方面から来た人々に大別できるそうだ。肌の色は一般のタイ人より黒く、髪がカールした彫りの深い顔つきの人が多い。雰囲気はまったくタイ人集落とは違うが、人懐こい人も多い。タイ語で話しかけたら、盛んにビールを勧められた。

 シレイ島にはもっと大きなチャオ・レー集落があるが、ラワイのよさは、もっと素朴で元来のジプシー的な佇まいが見られることと、市で販売している魚介類などを買って、向かい側にあるレストランに持ち込めば、調理してくれること。通常、シーフード・レストランで扱う食材は限られているので、ヴァリエーションが広がる。レストランの閉店はその日の客の引き次第だが、20〜22時ごろが目途。数は少ないが、その時間帯でも少しだけ市で魚介類を売っている。

 ラワイまではチャローン方面からソン・テゥが出ている。バイクや車でアクセスする場合は、チャローン・ロータリーからウィセット通りをひたすら南に走れば、終点がラワイ船着き場である。ビーチはそのほんの少し手前にある3差路を右斜めに入ればすぐに到着。車の場合は、土産物屋の並ぶでこぼこ道を通り越え、テント状の家が少し並んだ集落の入り口付近の広場でUターンを切ることができる。









へー島(コ・へー/コーラル島)

 ラワイやチャローンの船着き場からボートで渡る離島の中で、乗船時間が短いわりに美しい島。カイ島やピー・ピー島など、他の島にはまだ足を運んだことないので、その比較はまだできないが、海水の透明度は高いし、パン屑を撒くと魚たちが浅瀬まで集まってきて楽しい。シュノーケルとゴーグルくらいの用意は、ぜひしておいたほうがいい。ただし、英語名「コーラル・アイランド」の名とは違い、珊瑚はあまり残っていないように見える。

 僕たちが上陸したのはバナナ・ビーチ(ハット・クルアイ)。砂はきめ細かく、素足に優しい。沖を抜ける島風も爽やかだ。これはタイの海岸全体に言えることだが、日本に比べて磯臭さが少ない。設備としては、シャワーもトイレも無料で、レストランもある。ただし、バナナ・ビーチのレストランの味は期待しない方がいい。また、島なので、料金に関してはすべて割高。時間がたつと波打ち際がけっこうビーチを上がってくるので、ビーチ・デッキを借りた方がいい。

 午前中のビーチは訪問客で賑わっている。日本人を含めてアジア人も多いので、異国風情を感じたいのであれば、他の島の方がいいかもしれない。昼に入ると、他の島を巡ったついでに立ち寄る数少ない客がいる程度で、多くは昼食後に引き揚げていく。ただ、浜辺の魚たちも姿が少なくなっていくことは念頭に入れておいた方がいいだろう。

 アパートの管理人さんに尋ねてみたら、10人程度のスピード・ボート相乗りは1人1000バーツで、ハーン・ヤーォ(木造の長い船)はハイヤーのように何人乗っても2300バーツだということだった。僕の場合は、借りていたアパートから徒歩すぐのところに小さな港があるので、そこのハーン・ヤーォ船頭さんに頼んだ。いい人だった。ただし、内海を沖合いに出たとき、波が高ければけっこう揺れるし塩水をかぶることになる。服装は濡れてもいいものにして、カメラらハンディカムなどの機器はビニール袋にでもつめた方がいいだろう。









ヤヌイ・ビーチ

 あくまで非常に小さいし、海に少し入るとすぐに岩場があるので、人が少ないビーチ。それでもビーチ・デッキやカヤック、ゴーグルやフィンなどのレンタル(いずれも100バーツ)、無料トイレ、簡単なレストランなどはある。岬に近いので水の透明度が比較的高く、人の出も落ち着いているので寛ぐことができるだろう。特に、アジア人の姿が極端に少ない。今のところ、プーケットのビーチの中で、僕の一番お気に入り。

 東側に、潮の満ち干で陸続きになったり海水で隔てられたりする岩が突き出ており、西側には小山のような台地があって、変化に富んだ風景に囲まれている。それがまた得も言えない落ち着きを醸し出している。東の岩の向こう側(プロンテップ岬側)にはシュノーケリングに適した浅瀬の穏やかな岩場がある。

 西側の小山大地の頂上には風力発電所があり、風車が回っているのを目にすることができるだろう。ときどき、そのあたりの位置からパラセイリングのようなものが浮かんでいるように見えたが、実際に人が浮かんでいるのか、それとも風向を確かめるための設備なのかはよく分からなかった。この頂上からの見晴らしもなかなか雰囲気があっていい。ヤヌイ・ビーチの反対側にはナイハーン・ビーチの入江が見渡せる。

 ただし、この場所に辿り着くための公共交通機関のようなものは、おそらくないと思う。プロンテップ岬からなら下り坂を歩いて降りきったところにあるので、歩いて楽にアクセスすることもできる(この場合は岬の駐車場から見て道を左手に進む)。









プロンテップ岬


 プーケット島最南端の岬。サンセットの美しさで有名。

 高台には灯台が建っており、その周辺の広場や遊歩道から岬を見下ろすことができる。強い海風が爽やかだ。ここから岬の先端へと降りていくこともできる。踏み均した獣道は、途中でヒールのあるパンプスなどを履いてきた女性にはお薦めできない程度の急勾配の岩場があるのでご注意。小石と砂の混じった道は崩れて滑りやすい。高台との高低差がけっこうあるので、帰り道はいい汗を流せる。

 プーケットの名だたる場所では外国語が耳に飛び込んでくる機会の方が多いが、ここではタイ語が半分以上。頭部に布を纏ったイスラム女性たちの姿も多く、様々な人々が集うのが楽しい。

 ラワイ方面からだと右手に土産物屋、左手に駐車場がある(ナイハーン/カタ方面はこの逆)。周囲はしばらく緑が続いているので、土産物屋と駐車場の存在は目立って分かりやすい。駐車場に階段やスロープがあり、人の流れについていくと自然に高台広場に出ることができる。









ナイハーン・ビーチ

 プロンテップ岬にもけっこう近い、こじんまりしたビーチ。家族連れが目立つほか、ビーチでペーパーバックのページをゆっくりめくっている西洋人の姿がちらほらあるだろう。ビーチ北に小さな水たまりができる時間帯があっておもしろい。

 周囲の雰囲気もずいぶん長閑だ。ビーチ周辺にはホテルも店も少ない。ここから内海になっているような珍しい場所沿いに少し北に行くと、宿泊施設やレストラン・小売店などが少し固まっている場所がある。1週間以上の滞在が可能なら、ここでのんびりとした時間を送るのは良い思い出になりそうだ。

 ビーチ北端にオール・シーズンズ・ホテルがあり、その入り口左手にシャワーとトイレがある。無料で貸してくれるので、帰りの着替えも安心だ。

 たぶん、公共の交通機関はここを通っていない。だからこそこの時間の流れ方がナイハーン・ビーチにはあるのだろう。









シレイ島(コ・シレー)

 たまたまラワイで知ったチャオ・レー(海のジプシー)に興味を持って、訪れたシレイ島のチャオ・レー集落。どうやらプーケットでの観光バスで回る機会が多いのは、こちらシレイ島のコミュニティーの方が多そうだ。実際、規模はシレイ島の方がはるかに大きく、村と呼べる。チャオ・レーの集落はプーケットの他の場所とはかなり雰囲気が異なり、訪問した旅行客には大きなアクセントとなるだろう。

 この村には、自分自身が体験できなかった時代を偲ばせる空気が漂っている。必ずしもまっすぐではない土の道。村の入り口付近に並ぶ、ものすごい大きさの木々。簡単な木造りの家。村の人々の憩いの場になっている寄り合い場所。やってきた移動屋台に群がる人々。遠くを見つめるような老人の表情。向こうから声をかけてくる人がほとんどいないくらいの、村人たちのシャイな姿。そういったものが、挙げるときりがないくらいにこの村には汪溢している。道を歩いてみると、プーケットどころか、今自分がどんな時代のどこにいるのか分からなくなってくる。

 写真の風景は、「サラー・ホアランポーン」に集う人々。「サラー」は日本語にすると「東屋」と訳されることの多い、屋根つきの休憩所のことで、「ホアランポーン」は「中央」の意味。まさしく村の中央にあって、村中の人々がやってきてはここで涼んでいくという。「以前は普通の家だったんだけど、人が出ていって、こんなふうになったんだよ」と教えてくれたおばさんの表情には大きな寛ぎがあった。ただすれ違って目があっただけの時点では異邦者に対する溝を感じるが、声をかけるとほとんどの人の表情が温かく緩む。

 プーケット・タウン周辺からバイクや車で行く場合は、スリン通りソイ2(東行き一方通行)を進むと、大通りと合流し、そのまま一直線で橋を越え、シレイ島へ入ることができる。そのまま進むと突き当たりに時計塔ロータリーがあるので、その辻を右折。港に出る一つ前の三差路(角で新築のタイ伝統建築風の建て売りが並んでいる)を右折すれば、道が海岸側に曲がった終点がチャオ・レー村の入り口。バイクでは問題ないが、車の場合は集落にそのまま入った場合、集落終点の大きな木のある広場でしか引き返せない。

 シレイ島には他に、カイ島などへのアクセスとなる港があるほか、小山の頂上にある寺や、猿を放し飼いにしている場所などがある。









パンワー岬

 チャローンやラワイ方面からやや北(左手)に見える岬が、パンワー岬である。チャローンからパンワー岬・ロン島に囲まれた一帯は内海になっており、波が穏やかである。

 プーケット・タウン方面から足を延ばせば、周囲の風景が一気に優しくなり、空気が変わるのが分かるだろう。岬の先端以外には自然が広がっている。車やバイクなど、自由に動ける場合にはアォ・ヨン・カォカット通り(岬の西端を走っている道路)からのアクセスをお薦めする。少し道がややこしいが、河口が船着き場になっている周辺までは田舎風情の街並みが楽しめて、その先は緑ばかりになったと思えば、右手に海が広がり、チャローン方面を臨む海が見えるようになる。風景のよい場所に屋根つきの休息所もある。岬へのアクセスのメインはサクディデット通りだろうが、こちらは岬に到達するまで、整備の行き届いた広い道が比較的内陸部を通っているので、面白みが少ない。

 岬の先端にはプーケット水族館があり、そのすぐ脇に船着き場があって、数は多くないが舟が止まっている。近くの島へ渡るのも一興だろう。









プーケット水族館

 パンワー岬の先端にある小さな水族館。外国人の入場料は大人100バーツ・小人50バーツだが、労働許可書などを示せば、タイ人料金の大人50バーツ・小人20バーツで入場できる。

 鳴り物入りのチェンマイ水族館のような圧倒的な施設ではないが、それなりに楽しめた。入場する前の入り口にはホヤやナマコを触れるようになっている生け簀のような水槽がある。館内では、ウツボのグロテスクな(?)姿や、大きなクエがごくゆっくり遊泳している様子などは人気であろう。十数歩で終わってしまうが、いちおう海底トンネル・チューブのようなドーム状通路の中を見学をできる水槽もある。こちらでの人気者はエイとナポレオン・フィッシュだろうか。

 プーケットの夜は一部を除いておおむね早めだが、ここはさらにずいぶん早く、午後4時半の閉館である。訪問を考えておられる方はご注意を。









カタ・ビーチ

 プーケット2番手のビーチだが、パトンよりははるかに落ち着きがある。ビーチは北のカタ・ヤイと南のカタ・ノイに分かれている。カタ・ヤイはカタのメイン・ビーチで、ほどよい人出で賑わっている。ここでも客引きはあまり気にならない。小さなカタ・ノイは岬を越えたところにあり、表示がなければ見落としてしまいそうである。こじんまりとはしているが、人影も少なく、ゆっくりするにはもってこいである。

 ここには家族連れの姿も多く、カタ・ヤイ周辺には夜にも土産物屋やレストラン、マッサージ屋などで賑わっている。しかし、やはり街全体にもしっとりした感じがあり、大型ショッピング・センターなどもないので、リゾートでの縁日気分が味わえる。カタ・ノイは近くに学校があるなど、若干の生活感が感じられるほかは、ほとんど宿泊施設になっており、ぶらり歩きには少し物足りないかもしれない。

 バンコクのバーで知り合ったサーファーに、このビーチがなぜか雰囲気がいいんだと聞いていた。それは、ここが島で一番のサーフ・スポットだからなのだろうが、街のしめやかさもそこに味を加えているのだろう。

 プーケット空港からカタまでのロット・トゥーは180バーツ、メーター・タクシーのスタンドではメーターなしで600バーツを言われた(2011年10月)。









プーケット・タウン(ナイ・ムアン・プーケット)

 1998年にたった1泊だけして立ち去ったプーケット・タウン。そのときの印象は、イスラム的な雰囲気がぐっと出てきたことと、煤けたコロニアル風の建物がいくつも残っていること、それに、空き地は多いけれども街らしい街並みであることだった。

 2011年に再訪してみると、想像できてはいたことだったが、開けてびっくり玉手箱。正確にはシノ・ポルトギースと呼ぶらしい由緒ある建物は補修が進み、いくつかはカラフルに彩られていた。中華趣味を押し出した街づくりは、どうやら観光客にもかなりの人気である。特にタラーン通り中ほどにあるソイ・ロマニーや、タラーン通りと垂直に交わっているヤワラー通りはその極致であろう。

 一方、この旧市街散策の中心となるタラーン通りは、建物にまだ以前の風情が残っている。ただ、写真を撮っていて気づいたのだが、この周辺の電線はおそらく地下に埋設されている。タイでは束になった電線が景観の邪魔をすることが多いので、非常に撮影が楽である。やはり、街おこしなのだ。

 以前見かけた空き地はすっかり見当たらなくなっていた。そういう場所で三々五々と集まってできた、ちょっとした屋台街も。ただ、シンガポールのチャイナ・タウンのように、ほとんど失われてしまってからテーマ・パークのように提供し直されたウソ臭さはここには少ない。マレーシアのペナン島のように、ある種の黄昏もまた残ってもいる。

 プーケット空港からロット・トゥーで100バーツ(2011年10月)。









チャローン(ジャローン)

 プーケット西海岸であるカタやカロン・ビーチの、ちょうど東側にあたる位置にある街。離島への一大アクセス・ポイントとなっており、港にはかなりの数の船が集まっている。ここの長い桟橋は、夜になるとライト・アップされて、それなりに見ものであろう。この港から、街の中心の5差路ロータリー(ウォンウィエン・チャローン)までの短い道沿いに、オープン・バーやレンタル・バイクの店などが並び、ここだけ雰囲気が違う。

 それなりには外国人旅行者も見受けられるし、実際に人気も以前とは比べ物にならなくなってきているそうだが、チャローンはまだまだタイ人のための街という雰囲気の強い場所である。そのおかげで、周辺の物価は比較的抑えられている。ロータリーからチャオ・ファー・タノン・トク通りに入ってすぐ左手に、ホーム・プロとヴィラ・マーケットが入っているショッピング・センターがあるほか、ウィセット通りにはロータス、チャオ・ファー・タノン・オーク通りにはデイリー・トップスがあり、コンビニならあちこちに建っている。

 チャローンのある東海岸は基本的にフェリーの船着き場で、夕方には潮もかなり遠くまで引いて、遊泳向きではない。だが、そのぶんだけ手つかずの雰囲気が残されている。周辺にはイスラム寺院が多く、アザーンが聞こえてくるのもなかなか風情が感じられる。

 アクセスとしては、プーケット・タウンからソン・テゥが出ている。









カロン・ビーチ

 パトンやカタよりも落ち着いていると言われるが、プーケットを代表する3大ビーチのひとつ。たしかに物売りや客引きはうるさくない。砂浜が約3km続いており、すぐ南に、サイ岬を隔ててカタ・ビーチが続いている。夜の砂浜に出てみると、一歩ごとにキュッキュッと音が聞こえた。あとで知ったことだが、鳴き砂もこのビーチの特徴の一つらしい。

 北に位置するカロン・ロータリーから北に行くとパトン・ビーチ、東に行くとチャローン、南に行くとカタからプロンテップ岬方面へと出られる。ちなみにこの3つの道路の名前はどれも「パタック通り」で、海沿いの方を「西通り」、チャローンに抜ける内陸の方を「東通り」と呼んでいる。ロータリー周辺には小売店やレストランが並んでおり、いちおうこの周辺がカロンの最も繁華な地域ということができるだろうか。ロータリーから東パタック通りに入ってすぐのあたり、特に偶数ソイの周辺のホテルは、周辺にオープン・バーが多い地域があるので、就寝時の騒音にはご注意を。一方、ロータリーから南に、ビーチに沿って延びた道沿いの賑わいもカタへと続いている。カロンの周辺はこの道路が海沿いになっているので、さすがに高級感漂う建物が多い。

 僕にとっては、ここがプーケットで初めて見たビーチなのだが、なぜか日本人の姿をとんと見かけない。街ではロシア語の広告などをよく見かけ、時代が変わっていくことを強く実感させられた場所だ。

 プーケット空港からカタまでのロット・トゥーは180バーツ、メーター・タクシーのスタンドではメーターなしで600バーツを言われた(2011年10月)。









プラ・プッタミン・モンコン

 チャローン周辺やアォ・ヨン・カォカット通り(パンワー岬方面への西岸道路)から陸側を見渡すと、小山の頂上に発見できる白い、大きな大仏。観光名所の一つにもなっているようで、到着すると観光バスがけっこうな数、止まっていた。英語名はまさしくそのままの「ビッグ・ブッダ」。

 まだ新しい大仏は、現在も下部を建造中である。お布施のひとつに、この下部表面にはめ込む白いタイル状のブロックが並べられ、その表面にコメントを書くというものがあった。小さなブロックで100バーツ。おそらくコメントを裏返しにはめ込むのだと思うが、自分のメッセージが残るというのはやはり少し気持ちの動かされるものだ。

 僧侶が二人、聖水を振りかけ、功徳を与えていた。西洋人も進んで参加している。彼ら・彼女らのこうした姿を見る機会は、僕のバンコクでの生活上にはなかなか見る機会がないので、その違和感に「ここはプーケットなのだ」という思いを新たにした。

 周囲は当然ながら見晴らしがよく、チャローン方面やカタ方面を見下ろすことができる。

 自分で運転してアクセスする場合には、チャローン・ロータリー(ウォンウィエン・チャローン)からチャオ・ファー・タノン・トク通り(ロータリーから行くとすぐに、左手にホーム・プロとヴィラ・マーケットの大きな複合ショッピング・センターが出てくる道)をプーケット・タウン方面に進み、2つ目の信号を左折してそのまま広い道を選択すれば到着する。道は舗装されているが、山道だけにアスファルトの穴やひびがあったり、舗装のやり直しで砂利になっているところもある。バイクの場合には特に運転に注意した方がよいだろう。









サム・アォ展望台(カタ展望台)

 カタからプロンテップ岬へ出る道の途中にあるヴュー・ポイント。

 日中は観光客の姿が見えてバイクや車も止まっているし、道のすぐ脇にあり、堂々とした造りになっているのでそれとすぐ分かるだろう。写真右手に3つの湾が見えるが、手前からカタ・ノイ、カタ・ヤイ、カロン各ビーチである。一番奥に見える岬の向こう側にはパトン・ビーチがあるはずだ。その位置関係から、ここを訪れる旅行者は多いだろう。ただし、おそらくここを通る公共交通機関はない。バイクや車のレンタルでふらりと立ち寄れば、時間を気にせず写真を撮れる。

 道路から展望台に向かってすぐ左の砂利道を入ってすぐのところに売店があり、ここでガソリンも買えるが、こういう辺鄙な場所で買い求めると、1瓶50バーツも取られたりするので、あらかじめ補充を怠らずに(安い店なら30バーツ)!









パトン・ビーチ

 申し訳ないが、パトンにはほとんど興味がない。ちょうどサムイ島でチャウエンにほとんど出る機会がなかったように、地域のメイン・ビーチは物売りがうるさく、人も多過ぎる。後背地の街も、便利だろうがせわしない。そして、そこにいるタイ人たちの表情もどこかギラギラして見える。そういう雰囲気を楽しみたいなら、僕はパタヤーに行くだろう。

 そういうわけで、ここには立ち寄っただけで、その良さや利点は他のサイトに譲ることにしよう。



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footprints


2011年訪問
ラワイ・ビーチ

離島への足であり、レストランの並ぶ一帯。
ラワイ・ビーチ

泳いでいる子どもも、数は少ないが見かけた。
ラワイ・ビーチ

碑にある「日本人からの」という部分が引っ掛かる。なぜ日本だけが対象になっているのだろう?
ラワイのチャオ・レー集落

集落入口にある市にて。沖縄で見たアオブダイがここにも。
ラワイのチャオ・レー集落

そして、大きなイカも。
ラワイのチャオ・レー集落

貝類だけを販売している屋台もあった。上の白い貝はけっこう固くて驚いた。
ラワイのチャオ・レー集落

夫妻らしき二人の行く手にある2本のヤシが、どうにも夫と妻の樹に見えて仕方がなかった。
ラワイのチャオ・レー集落

チャオ・レーの集落には必ず大きな木が残っている。木陰はもちろん彼ら・彼女らの集会所。
ラワイのチャオ・レー集落

集落には涼をとり、井戸端会議をするための場所がいくつかある。ここで寝るもよし、ビールを飲むもよし、黙って過ごすもよし。
ラワイ桟橋

ローイ・クラトーンの日には、クラトーン流しとコム・ローイ揚げのため、人が集まっていた。大混雑のチャローン桟橋よりずっと風情がある。
ラワイ桟橋

同じくローイ・クラトーンの日。ここでクラトーンを流すと、タイ人の風習に馴染んでいないチャオ・レーの子どもたちがクラトーンを捕まえてしまう。二つの違う文化・慣習の交差点に出てきたようだ。この様子を見ることができて本当によかった。
ラワイ・ビーチ

縁日に屋台や出店が。
ラワイ・ビーチ

ニュー・ハーフのビューティー・コンテストをやっていた。しまった、カメラを忘れた。バイクで取りに戻り、急いで引き返す。どうにかラストに間に合った。最前列に出て写真を撮ろうとすると出演者がポーズをとってくれたが、メモリー・カードが入っておらず、慌てて携帯を取り出すと、とたんに興味をなくしてステージからみんながはけた。
ラワイのチャオ・レー集落

市場で買った食材を料理してくれる。この方式でも、沖縄の公設市場や韓国の市場を思い出した。
ラワイのチャオ・レー集落

こういうコミュニティーにも、ファランは平気でこんなスタイルで散策。本当にこういう人たちが多い。
ラワイのチャオ・レー集落から臨むへー島(コーラル・アイランド)

この写真では左側にバナナ・ビーチがある。
へー島(コーラル・アイランド)

ロシア人がこちらにも多い。
へー島(コーラル・アイランド)

パン屑を撒くと、魚たちがこのように浅瀬まで集まってくる。
へー島(コーラル・アイランド)

ヤドカリが身を起こしていた。
へー島(コーラル・アイランド)

ハーン・ヤーォで島から引き揚げるところ。背景はへー島。
ヤヌイ・ビーチ

こじんまりしている分だけ、落ち着きムード満点。
ヤヌイ・ビーチ

西の小山の頂には風力発電所。
ヤヌイ・ビーチ西側の小山頂上

真ん中に見えるのがヤヌイ・ビーチ。その奥に少しだけ、プロンテップ岬が突き出しているのが見える。
プロンテップ岬

昼には日よけに活躍するヤシの木は、たそがれると夕陽に染まる空と特別なコントラストを描き出す。
プロンテップ岬

日が沈んでも、しばらく人々はここで記念撮影大会。
プロンテップ岬

ファランが強い風の中、コム・ローイを揚げていた。しかしこのあと、風が強すぎて、木立の中に飛ばされてしまった。ファランたちが黙ってその場を去ったので、近くのレストランの人たちが慌てて火を消していた。
プロンテップ岬

岬の先端に降りるまでの、ここが最も難所。
プロンテップ岬

ここが岬の先端。波が荒いので、濡れた部分に近づいてはいけない。
プロンテップ岬

雲がかかることが多くて、思うように見ることができないプロンテップ岬のサンセット。最終日近くに、ようやく眺めることができた。
ナイハーン・ビーチ

写真右手に水たまりができることがある。
ナイハーン・ビーチ近くの内海

もしかすると、内海ではなく、貯水池なのかも。
シレイ島

「写真を撮って!」とせがんだ少女だったが、その子だけなぜか難しい顔…。
シレイ島

見たこともないのに懐かしい雰囲気が立ち込めている。
シレイ島

捨てた貝殻が、貝塚を作っている。
シレイ島

小山の頂上にお寺が。
シレイ島

その頂上のお寺で黙想している人。境内はひたすら静かだった。
シレイ島

プーケット・タウン方面から橋でシレイ島に入ると、しばらく進んだ左手に猿を放し飼いにしているところがあった。夕刻にはもう餌が与えられ過ぎているのか、バナナにはあまり食指が動かない様子。ただし、ピーナッツは大好物。
カォ・カット

 パンワー岬までアクセスする道のひとつで、チャローン方面が対岸に見える。
カォ・カット

 右の山の上にプラ・プッタミン・モンコン大仏が見える。
カォ・カット

 休息所がところどころにある。
カォ・カット近くのビーチ

 岩場の方に人はいたが、砂浜の方にはまったく人気がなかった。
カォ・カット近くのビーチ

 内海になっていて波もほとんどなく、ひたすら静かな砂浜。
プーケット水族館

 小ぶりのかわいらしい水族館。
プーケット水族館

 クエがゆっくりゆっくり泳いでいた。
カタ・ヤイ・ビーチ

 サーフィンをしている若者を一人だけ見かけた。
カタ・ヤイ・ビーチ

 泳ぐのは夕刻の僅かな時間にかぎる。
カタ・ノイ・ビーチ

 もっとのんびりしたビーチならこちら。
プーケット・タウン

 時計塔はこの街のシンボルの一つ。
プーケット・タウン

 ソイ・ロマニーの入り口。
プーケット・タウン

 ソイ・ロマニーにあるお洒落なカフェ。でも、店員の綺麗な女の子は、ソムタムを食べていた。
プーケット・タウン

 暮れなずむタラーン通り。
プーケット・タウン

 時計塔ロータリーも街のランドマークのひとつ。
プーケット・タウン

 セントラル・フェスティヴァルはプーケット随一の大ショッピング・コンプレックス。
プーケット・タウン

 ロータスにもバイクがずらり。
チャローン

 おいしいイサーン料理屋にて。
チャローン

 桟橋は夜になるとライト・アップ。
チャローン

 桟橋の入り口。歩くとけっこうな長さなので、ミニバスが往復している。
チャローン

 夜の船着き場。あたりは本当に静かだ。
チャローン

 街の中心の5差路ロータリー。
チャローン

 ホーム・プロとヴィラ・マーケットが入っている、街一番の複合ショッピング・センター。
チャローン

 ロータリーから船着き場に続く短い道はトラヴェラーを待っている。
チャローン

 夜7時から1時まで開いているおいしいクィッティヤゥ屋さん。
チャローン近くの船着き場

 時間そのものを眺めているような親子。
チャローン近くのピザ屋

 持ち帰りのピザを縦に持つと「ノー!ノー!」とイエロー・カードが出た。
カロン・ビーチ

 ビーチ北にあるロータリー。
カロン・ビーチ

 地元の子どもの姿も。
カロン・ビーチ

 女性は海を見ると一目散に走り出す人が多い。
カロン・ビーチ

 ビーチ・バレー大会の一こま。
カロン・ビーチ

 見かけほどおいしくなかった。
カロン・ビーチ

 バー街は深夜まですごい音量。
プラ・プッタミン・モンコン

 カタ方面を見下ろす。
プラ・プッタミン・モンコン

 猫はパンフレット置き場でシエスタ。
サム・アォ展望台

 人種の百花繚乱。
パトン・ビーチ

 三色並んだシーロー
プーケット動物園

 窓口の係官がなんだか横柄なので、入場をやめた。
1998年訪問
イスラム風味を感じさせる旧市街の回廊
道端に落ちていた野菜

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