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《3》 新世界[ルナパーク]の巻


新ブラ/当世風

銀座をブラブラするのが「銀ブラ」なら、新世界をブラブラするのが「新ブラ」。今日はいい天気の日曜日です。では、ちょっとぶらっと行ってみましょうか。

昼メシ

新世界の風景を手に取るように描写したのが林美美子の「めし」。だから、ここでは「お昼ご飯」ではこまるわけで、やっばり「昼メシ」なのです。暖簾をくぐるのは大きなフグちょうちん(フグ風船?)が有名な「づほらや」。僕が注文するのはふぐ天丼とふぐのたたき。天丼にはおすましと漬物がついてます。おすましはフグのダシがようでてますわ。それに、たたきのぷりっとした噛みごたえとぽん酢・もみじおろし・あさつき・玉ねぎとのあっさりしたコンビネーションがなんともいえませんなあ。私は香りと磁味の豊かさで、てっさ(ふぐの薄造り)よりこっちのほうが好みなんです。丼は量が多めですから、女性にはふぐうどんなごがおすすめですかな。[以上、桂米朝さんのロ調で]

ひと息

腹ごしらえのあとは、月並みですが、通天閣にのぼってみましょう。三階の受付までガタゴト円形のエレベーターに揺られて、入場料は六百円です。展望台までのエレベーターではアナウンスが流れるんですが、それを改めて聞いて知りました。頂上展望台は「五階」なんですね。大阪を一望するタワー展望台が五階だとは驚きました。

円形エレべーター前にある全国のタワーせいくらべの図があるんですが、それで見ると残らが通天閣は名だたるタワーのどれにもまして背が低い。東尋坊タワーより高いようですが、そんな塔なんて東尋坊に行った僕もあったの覚えてないですよ。けど、そんな通天閣でも見晴らしはすこぶる良いんです。北側の名だたるビルの群れを眺めるのも、開発されつつある西側のベイ・エリアを堪能するのも面白いですが、東側の、均一な高さの町並が生駒の山裾まで続くさまが圧巻でしょう。そののっぺりした感じが大阪らしさを物語ってるんじゃないでしょうか。今なら南側のすぐそこに建設中のフェスティバル・ゲートと周囲の景観との違和感を楽しむのも手でしょう。

次はアレンジ・ボールなんかいいんじゃないでしょうか。あれですよ、手打ちパチンコ。そいつがビンコになっていて、アレジンみたいに下にずらっと並んだ数字を揃えるという代物です。電動パチンコとちがって一投ことに気合が入りますな。しかし、リーチはかかっても肝心の数字にはなかなか入らんもんです。ここは隣のおっちゃんの台の釘の様子など探りながら、じっくり打ってみましょう。

肩がこる前に、弓なんかいかがなもんですか? 弓道場はちょっと分かりにくいですが、ジャンジャン横町の北詰めの近くの路地のつきあたりにあります。やったことなくても結構。世話好きのおっちゃん・おばちゃんがあれこれ指導してくれますから。コツはとにかく体をぴったり静止させることです。矢を放つときに腕や体がブレたらだめなんです。的に当たったら太鼓をどんどんと鳴らしてくれるのがうれしい。三百円で矢が六本打てます。ひと汗しても千円強です。

ここらでお茶もいいですが、甘味どころっていうのも気怠い日曜の夕方には合うかもしれません。地下鉄の大通りを越えてアーケードをどんどん行くと、右手に「力餅」があります。あの「力餅食堂」の親戚でしょうか。懐かしいテーブルとアンティークな長椅子。あ、クリームみつ豆にするんですか。僕はきょうはトーストにしましょう。この辺りから東に出ると、あべの再開発の現場が見られます。「あべのマルシェ」とか「あべのポルテ」とか、どこがどこやらわからんような没個性の住宅群が建ち並び始めています。住んでいる方には申しわけないが、ありゃいかんでしょう。阿倍野の雰囲気に全然マッチしとらんではないですか。なにも下町情緒を売り物にすることないですが、こんなとこにニュー・タウン作ってどうするんですか。

あるいはチンチン電車で住吉さんにお参りなんてのも楽しそうですね。近所に鰻屋さんやらお好み焼き屋さんやらのいい店がありますよ。でも、来るべき夜のために小腹はすかせときましょう。

お待たせ、夜です

いよいよ夜です。ジャンジャン横町は将棋屋も囲碁屋もお客と見物人でいっぱい。まずは「こまどり」で軽く一杯。ワニやカンガルー、カエル、すずめの肉などを串で出してくれます。ワニは肉の繊維は粗いけどさっぱりした、レモンの合いそうな味。カンガルーはすこしにおいにクセがあるけど、すぐ慣れます。馬刺しも安い。

やっぱりこの界隈に来たからには、串カツものぞいときましょう。「てんぐ」は黒ビールもあって、まったりとした風味がいい感じです。あっさりウスター・ソースでカツやタコやししとうや、さんざん頼んで二千円くらい。あっけにとられます。

ホルモン焼きの煙にも誘われますね。「ホルモン道場」の暖簾をくぐると、チョウやら、ミノやら、やはりここは内蔵ものが食べてみたい。しかし、ここでぜひ味わってほしいのが大根の一品ものです。あっさりした甘みの大根がしっかりしたダシと香ばしいゴマ油とに和えられている逸品です。いやー、うまい。さっき席をつめてくれたおっちゃんが帰るときに、空けたお皿に百円玉を何枚か「おまじない」とか言っておいていきましたよ。こういう面白い気遣いがここにはあるんですね。

もう僕はおなかいっぱい。え、もう一軒行きたい? よっしゃ、つきあいましょ。寿司屋も安いですから、どこか。かかってるテレビは阪神戦です。カキの握りでももらいましょうか。アガリ(お茶)をいただいて、ビリケンさんに似たおっちゃんと野球の軽□たたいて、今日はお疲れさま。またひまなときにでも一緒につき合ってください。お休みなさい。


◆ ふろく 「新世界模様」へ
























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