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閑話休題四方山噺
その4.トラックに乗って夜と出会う話

最近、夜中に車をむしょうに走らせたくなるときがある。
僕は昼夜逆転した生活を送っているので、車の少ない2〜3時頃にポンと出掛けられるのだ。
ちなみに、車は父が仕事に使っているトラックで(といっても積載1tの本当に小さなトラックだ)、こいつでゴトゴト出てゆくことになる。
けっこう僕はこのトラックで出掛けるのが気に入っている。
映画「ラスト・ショー(原題"The Last Picture")」では、主人公の男の子がガールフレンドとトラックでドライヴするシーンで始まるが、このトラックは共同購入したもので、その一方の共同購入者の若者との車の貸し借りに気を揉んでしまうあたりの青臭さが好きだった。
トラックは燃費もいいしクラッチのつなぎもいいし、車高が高い分、見晴らしがいい。

そうして、僕がどこへ行くのかというと、たとえばこの間行ったのは西船町という所だった。
ここは大正区の南西の果てみたいなところで、バスも終点だし、道まで袋小路になる。
区内のメイン・ストリートである大正通りを南下・直進してゆくと、ある地点で道は右に曲がり、突然両脇にオレンジのライトに照らされたパイプや何かの機械が道にせまってくるようにそびえ立ち、そこを左に行くと南港方面に出る車がポロポロあるのだが、直進するともう動いている車はない。
寝静まった工場地帯。
道はまた右に曲がり、そして行き止まりになる。
道をふさぐ堤防のむこうは川で、向こう岸と結ぶ渡し舟が着く船乗り場がある。
その裸電球の下でしばしぼんやりする。
といった具合なのだ。

そういえば沖縄でもレンタカーで夜に走った。
ヤバイ奴だと思われることさえ気にしなければ、夜にひとりで車を(もちろんカー・ステレオなどはつけずに)走ると、その街(町)の夜の顔がおぼろげに見えるときがある。
生活や雑踏や装飾や目的や、そういったものからふと離れた時、所にその場所、そのモノが目に入るのだ。

明け方眠る前に、なつかしい友達や昔飼っていた犬や恋人の呆けた寝顔をふと思い出すように、いろいろな所にあるいろいろな夜をときどき寝床で思い出す。










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