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レヴュー15

イヴェント   5回統一マダン・生野/9889/新今里公園

飛び入りの参加者にマイクを握ってもらっていたノレチャラン(のど自慢)で、最初に出てきたフツーのおばちゃんが伴奏もなしに歌い出す。会場の色合いが変わる。深いこぶし、張りも重みも、艶も伸びもある歌声。日中の照りつける太陽の下に、何人かの人がたまらず踊りに出てくる。即席の太鼓が軽くリズムを取り出す。このスケールはなんだ! 人の声って、やっぱり最高の楽器だなあ。名前を聞き流してしまったが、あのおばちゃんの歌がもう一度聞きたい。

プログラム最後のプンムルでは太鼓と舞踊が煽る。僕の前に座っていたおばちゃんなど、早く舞台へ上がろう、もういいだろうと、そばにいる若者の手をひっぱっりひっぱりなだめられている始末。演者がステージから降りてきてあちこちに散らばり太鼓を鳴らすと、観客がみんな舞台に駆け上がる。沖縄で言うところのカチャーシーだ。だが、リズムが3拍子で、ウリナラ(朝鮮半島)が大陸と地続きであることを思い出させる()。踊りも波のように柔らかい沖縄のそれに比べ、鋭く激しい。3拍子と激しさにノレずにいたら、皆が手をつなぎ、輪を作って走り出した。僕も隣の人の手を取る。僕等より内側の輪は僕等とは逆に走っている。目が回るようなスピード感。夜を切り裂く強いライトの逆光を浴びて、色鮮やかなチョゴリをひらひらさせて娘たちが舞う。一瞬、僕は忘我した。

祭りが終わったら、すぐ隣の今里新地はもうネオンが人を吸いこんでいく時間になっている。このアンバランスが素敵だ、と僕は思った。

※ 日本の伝統リズムは4拍子。これは、農耕民族のため田植えの手作業のリズムが反映されてのことであり、また、3拍子は大陸の狩猟民族に必需品であった馬の駆ける音のリズムであるというのが定説である。

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