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-辞書・語学書-

★この章では紹介する書籍の長所ばかりではなく、実際に僕自身が感じた欠点も併記することとした。今後の改定出版時に参考にしていただければいいのではないかという願いを込めている。

タイ日実用辞典  岡滋訓  VOICE Thailand(1998)
 この辞書のすばらしい特徴は、誤った聞き取りをしても辞書で調べられること、である。
 まず、この辞書はタイ文字でひく辞書ではない。タイ語の音をローマ字とほぼ同じ発音記号で表したものを用いて調べるので、読み書きよりも圧倒的に聞いたり話したりする機会の多いタイ語という言葉の辞書として役に立つ。そして、タイ語は聞き取りが難しい。アナウンサーのしゃべったりする言葉は発音がしっかりしているが、一般人の会話には一定の癖があり、例えば「プロート」という言葉は「ポート」、「クラパオ」という言葉は「カパオ」に聞こえる。そして、末子音がほとんど発音されないので、「パー」と聞こえる言葉が本当は「パート」なのかもしれないし、「パーク」なのかも「パープ」なのかもしれず、もちろん「パー」のままだとも考えられる(さらには「パー」の部分だけとっても本当は「プラー」なのかもしれず、もっといえば、「ラー」の部分が"la"なのか"ra"なのかも聞き取りが難しい)。文脈の中で意味が取れる語はいいとして、新しく聞く言葉については、タイ語を後勉強した人にとってはほぼ音を正確に捉えることは至難の業だろう。
 この辞書が出たことによって、タイ語への理解は日本人にとって大きく深まったといっても過言ではない。


 
日タイ実用辞典  岡滋訓  VOICE Thailand(1996)
 英語は当然としてフランス語や中国語など、日本でもそれなりにメジャーな語学の書籍はまずまずの数の出版物があるから、それだけぶんクウォリティーの高いものが揃えられる。しかし、タイ語はまだそのレヴェルにまでは達していないようだ。辞書も数種出ているが、まず、調べたいのに載っていない語が多い。それに、文字は読めないがカタカナ表記では正確な発音を知ることができないからいやだというレヴェルの人は多いと思うのだが(僕もほとんどそれに近い)、こうなると発音記号がきちんとしているものがほしい。これがなかなか見つからなくて困ったりした。
 この辞書はそのあたりがよくまとまっている。一つの語でありながらいくつかの意味が含まれる言葉のそれぞれの意味をうまく取りまとめてもくれている。和英辞典と同じ感覚で使うのに最も近いのが、いまのところこの「日タイ実用辞典」だと思う。


旅の指さし会話帳  福富友子  情報センター出版局(2001)
 「日タイ実用辞典」の項でも書いたのだが、語学としてマイナーな言語はまずテキストや辞書を探すのが難しい。カンボジアのクメール語ともなると、発音記号がしっかり記されている書籍を僕はほとんど見たことがない。それに、適当な辞書がなく、知りたい語を検索するのによい書籍さえ、僕の知っている範囲の中にはなかった。
 「旅の指さし会話帳」は画期的な本だと思う。伝えたいことを指し示せば相手が読み取ってくれるという部分に特化したことで、この本は新しい国にチャレンジしようという旅行者に自信をもたらしただろう。ページ構成や配列もうまくできているから使い勝手もいい。イラストが多く使われているのにデザイン至上主義的ではないし、それもあくまで意思伝達の役割を果たしてもいる。
 中でも「カンボジア」は重要度が高い。先に書いたように、クメール語テキストに適当なものがないからだ。巻末に27ページの単語集がつけられているのが非常に役立つ。ただタイなどとは違い、カンボジアは識字率が低いので語を指し示しただけでは伝わらないことも多い。読んでみせても発音がカタカナで書いてある以上なかなか解ってはもらえないだろうが、あとはおのおのの「勉強」で埋めていくしかないだろう。


サワッディー  宮本マラシー  国際語学社(1996)
 大阪のとあるタイ料理店で知り合ったタイ人女性の方にタイ語を教わったことが3回ある。これがいまのところ、僕がタイ語を習った経験のすべてなのだが、その先生がテキストとしたのが「サワッディー」だった。B6版206ページというサイズの語学書はタイ語にしてもけっこうあるが、この本は基礎文型を覚えるのにはいいつくりをしていると思う。一つの文型に対する例文の数も豊富なので、学習していることがよく身につく。新出文型や新出単語の出てくる順も自然な流れだ。
 ただ、章の最初の例文以外のところで出てくる新出単語が改めて別の場所でまとめられていないため、電車の車内など赤ペンが出しにくいところでは暗記用のチェックがしにくいこと、練習問題の解答ページが探しにくいことがいってみれば難点か。


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