日本語による日本でのオリジナル・ロックということになると、その先駆けとして必ずジャックスの名が挙がる。僕も日本語ロックの系譜をはっぴいえんどから遡ってジャックスを耳にした。しかし、僕のような「70年代ロック追体験型」はともすれば「幻のバンド」とかいうお題目に弱いから、ジャックスについても「日本語によるロックのオリジネイター」という棚に祭り上げてしまいかねない。たぶんそうしてしまうと、ジャックスは本当にただの幻のバンドとしての認識しか与えてくれないように僕は思う。

 ロック的リズムに歌詞を乗せる試行錯誤という面から見ると、彼らはフォーキーだとさえ言える。一音符一音節を基本に、リズムというよりは内容重視の歌詞へのアプローチを見せるからだ。ただ、詞・曲の多くを手掛ける早川義男の文学青年然とした青臭い詩情と、長調でも声質のために震えながら沈んでゆくヴォーカルには日本ならではの美学がこれでもかといわんばかりに現れている。また、アレンジ面に大きな貢献を残しているドラムス、フルートの木田高介が隙間の多い彼らの録音に立体感を醸し出している。

 つまるところ、ジャックスはジャックスでしかない。彼らの美学に酔える人は聴き続ければいいし、違和感を覚える人は買ったアルバムを誰かにあげてしまえばいい。「日本語のロックのオリジネイター」なんてこれ見よがしなお題目は邪魔なだけだ。パンクと共通する激情の爆発の萌芽を彼らに見出し…云々の薀蓄も彼らに当てはまりはするけれど、ロック神話とリンクさせて音楽を聴くと当てが外れてしまったような気がして、肝心の彼らの「音」に辿り着けなかったら勿体ない。

 僕は、情けなくてかっこいいジャックスが大好きだ。


ALBUM

ジャックスの世界
ジャックスの奇蹟



my best song どこへ
my best album ジャックスの世界
my best lyrick どこへ
my best music ラブ・ジェネレーション
my best arrange どこへ




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