ファースト・アルバム至上主義を掲げるリスナーが多く存在する。そこにはそのミュージシャンなりユニットなりのすべてが情熱的に詰まっていると口を揃える。小沢健二のファースト・アルバム「犬は吠えるがキャラバンは進む」(再発売時には「dogs」と名を変えた)を聴きなおすたび、その意見に膝を打つ。

 フリッパーズでブレイクしていたとはいえ、小沢健二があんなにもメジャーな存在になるとは、誰にとっても思いもよらぬことであっただろう。彼はどちらかというとフリッパーズの陰の部分をソロとなって引き受けた人間で、「犬は吠えるがキャラバンは進む」ではあまりにも青臭い、照れ隠しが気障になってしまう文をライナーに寄せていた。そこから読み取れるメッセージは決してオーヴァー・グラウンドなものではなかっただけに、ソウルを下敷きにしたことなどそっちのけで愛らしいポップスとして持て囃された「LIFE」の楽曲の吹っ切れ具合には、ファーストでの意外な手応え以上に舌を巻いたものだ。

 しかし、あくまで彼の魅力は不器用な不完全さにある。それが裏目に出たのがサードの「球体の奏でる音楽」や、それと前後して連発した一連のシングル曲の数々だった。そして、それと正反対に、不格好のかっこよさを教えてくれたのがファースト。それはフリッパーズとの決別宣言でもあり、彼の彼たる立地点を力強く示してくれた。90年代は、華やかなりし頃のあとに見せる人間性にリアリティーのあった、今のところ最後の時代だった。


ALBUM

犬は吠えるがキャラバンは進む
LIFE
球体の奏でる音楽



my best song ぼくらが旅に出る理由
my best album 犬は吠えるがキャラバンは進む
my best lyrick ぼくらが旅に出る理由
my best music ぼくらが旅に出る理由
my best arrange 昨日と今日




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