ビートルズの末裔なんて吐いて捨てるほどいる、というか、その影響を受けないでミュージシャンとして活動できている面子を探すほうが難しい。XTCはそうした中でも、80年代をビートルズの申し子のように目されて活動を続けてきた。パンクの最後尾に「ヘリウム・ヘッズ」なるバンド名でデビュー。しかし、この遅れてきたパンク・ミュージシャン達というのは、エルヴィス・コステロにしろ、ポップ・グループやスリッツにしろ、このXTCにしろ、なぜかしら理知的な面が自ずと浮き出してしまうような連中がやたらと多い。そしてXTCはライヴ活動を止め、スタジオで音を際限なく弄繰り回す、良くいえばビートルズ風な方法論、悪くいえばオタク化の道を選ぶ。 「音の魔術師」という形容がまだ生きていた時代だった。打ち込みというものが本当に特殊な時代である。生のバンド・サウンドをどのように新鮮に変形させ、なおかつポップでいられるか、それがポスト・ビートルズ・バンドの宿命のようになっていた。XTC、殊にそのリーダーであるアンディー・パートリッジの、この一点に賭ける果てしない野望は偏執狂的になる一歩手前で、いわゆる玄人っぽいリスナーの耳を満足させていた。 そうして、時代は残酷に移り変わってゆく。音楽的な成熟とは関係なく、コマーシャル・プロダクションとしては60年代以降のエルヴィス・プレスリーが「若大将」でなくなってからの加山雄三とさほどかわらないオヤジになったように、シーケンサーを中心とするハード・テクノロジーの圧倒的な進歩により、もはや右も左もわからない素人にさえ簡単に摩訶不思議な音の合成などさほど難しいことではなくなって、XTCはビートルズの末裔だとはもう誰も思わなくなってしまった。 でも、XTCは素晴らしいポスト・パンク・バンドではあったと思う。短距離走的なパンクという衝動をオタク的な執拗さで音盤に焼き付けた彼らの方法論は間違っていなかった。それというのも、「ブラック・シー」や「ビッグ・エキスプレス」あたりで爆発している英国人魂が彼らの背骨であったことが大きいだろう。それに、彼らが「大きな子供」と称されたように、デュークス・オブ・ストラトスフィアーでの、万華鏡のようなサイケ音群との戯れには時代を超えた普遍性がある。 時代だとかビートルズの申し子だとか、そういうことを抜きにしてXTCを積極的に評価できるのは今のほうだろう。ポップス職人としての彼らの音と素直に戯れたい。 |
XTCの示したポスト・パンク
私的なことで話を始めさせていただく、13年ぶりにバンド活動を再開した。しかも、担当楽器経験のほとんどないベースがポジション。当時よりもリスナーとして音楽マジックの謎に近づいた気はするが、ブランクの長さは年齢として肉体的に大きくかぶさってくる。しかも、現在のところバンドはスリー・ピース状態。そのうえ、唯一一定レヴェルの実力を備えているドラマーは「シンプルなものがやりたい」という。アンサンブルに逃げるわけにもいかないとくれば、ここはメロディーにすべてを託すか、3人でもパワフルなものを選択するかのどちらかである。
以前、僕は彼らのことを「ポップス職人」と書いた。これはどうやら、大きな間違いである。確かにアルバム"Mummer"以降、気の効いたメロディーを豊かなアレンジで聴かせてくれることが多くなったXTCだが、改めて自身のバンドの参考にと聴き返してみると、彼らは紛れもなくパンク/ニュー・ウエーヴの申し子だった。初期のころはもとより、スカをブリティッシュ・ビート・バンドとして昇華したシングル曲"Are You Recieving Me"などを引き合いに出すまでもなく、彼らの音はあくまで初期衝動的なパッションに支えられながらもソリッドで、演奏の陰影やグルーヴ感・歌心といった世界とは二歩も三歩も距離をとっている。また、アレンジに注目を集め過ぎていた部分でも、自身の目が曇っていた。彼らは表現形態こそ間口を広げ、立体的で趣味のよい仕立てを見せてくれるようになったが、基本的に彼らは空間を感じさせる隙間の多い音を感性の赴くままに配置し、そこに聞こえてくる音が良ければそれで曲として成立させてしまうアグレッシヴな姿勢でいる。理知的に見えるけれども、姿勢はあくまで血気盛んなパンク・バンドなのだ。
ALBUM White Music |
THE DUKES OF STRATOSPHEAR 25 O'clock Psonic Psunspot |
my best song Wake Up
my best album The Big Express
my best lyrick This World Is Over
my best music Life Begins at the Hop
my best arrange Wake Up
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