Usher

 ポップ・ミュージックにおいてアメリカというアイコンは、今日、白人の手にはない。過去の栄光の焼き増しでしかないバンド・サウンドを相も変らずチンタラやっている間に、ブラック・ミュージックはとんでもない領域に至っている。アッシャーのPV"Yeah"に目を釘づけられて思い知ったのは、やっぱりどうしたって世界で一番進んだ街はニュー・ヨークで、ほかのどこでもないことだ。眩しいくらいクールに想像を絶するようなステップを音も立てない風情で繰り出してみせる彼の姿が、アメリカン・ブラックの今のリアリティーを教えてくれた。それは例えば、ウェイラーズが"Get up, stand up"で見せてくれたストリートの現実と同一地平に屹立する孤高の影。
 奴隷としてアメリカに住まわされた黒人たちがドラムをたたくのを耳にした白人たちは本能的に、その天性のリズム感が与える酩酊の底知れなさに焦燥し、これを禁じたという。そして、黒人たちはここまできてしまった。ニュー・ヨークが鼓動する姿を弁舌し得るスポークスマンは、みんなブラック・スキンを持っている。



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