タイでの暮らし



 微笑みの国・タイ
 うだる暑さのタイ
 身分格差のはっきりしたタイ
 どこか郷愁をおぼえるタイ
 首都と地方との落差が激しいタイ
 許しあう精神のタイ
 夫の夜遊びが心配なタイ
 オカマがどの街にでもいるタイ
 国民の識字率が90%を越えるタイ
 仏教の信奉に篤いタイ
 クーデターも起こったりするタイ

 どれも、本当のことだ。
 そして、人々はそんな極端にも思える事実に囲まれて生きている。
もちろん日本だって他国からの目で見ればかなり異色なところだと思うけど、タイという地域にはなんだか、よきにせよ悪しきにせよレヴェルを振り切ったようなところがある。

 日々の暮らしの繰り返しの中で、僕もそんなことを普段は忘れて生きているのだけれど。


1 住まい

  スクンヴィット通りのソイ21(アソーク)から63(エカマイ)に挟まれた地域には、在バンコク日本人が集中している。
もともとどうしてこの周辺に日本人が集まったのかには明るくないが、タイ唯一の日本人学校がこの場所からそう遠くないことは理由の一つにあるのではないかと思う。
日本語通訳がいる病院や日本食に欠かせない素材を販売するスーパーから、日本食の出前サーヴィスや日本の番組ヴィデオの宅配可能地域までがこの地域に集中し、日系企業がバンコクでの駐在員のために用意するコンドミニアムやマンションも、ほぼこの地域に固められている。

 また、アヌサワリーに近いソイ・ランナームにも日本人が急増している。
この地域は交通拠点となっているうえ、街としての規模も大きいわりには、アパートやマンションの値段が抑えられている。
留学生やタイ語学校へ通う生徒に人気であるのも頷ける。
ラチャダー・ピセーク通りのスーン・ワタナタム(タイ・カルチャー・センター)駅周辺にも増えているようだ。

 これらの地域はBTS登場以前から日本人の多い地域となっていたが、都市型交通として地下鉄や高架鉄道の利用に慣れた私たち日本人は、今後もBTSや地下鉄沿線に居を求めるケースが多いだろう。

 ちなみに僕は、チャオプラヤー川対岸のウォンウイェン・ヤイに住んでいた時期があったが、ここで写真屋にDPEを出すと、何も言わずとも受取人の欄に「日本人」とタイ語で書かれていた。
少しでも外れた場所では、やはり日本人の居住は珍しい(現在ではBTSが延伸され、日本人が増えているのではないかとも思われる)。

 さて、タイでの住まいは大別すると次のようになるだろう。

A 一軒家

 所帯を持ったタイ人や、半ば永住を決めた外国人が住んでいる。
庭に木を植えて池に鯉を放ち、好きなだけペットを飼って、改築も思うがまま。
一軒家が輝いて見えるのはタイであっても同じような理由だ。

 ただし、外国人には土地の所有が認められていないので、建物の買い取りだけになってしまう。
タイ人の伴侶がいる場合は、その相手の名義を土地の購入に使うことはできる。
もちろん、離婚してしまうと元の木阿弥にはなるが。
建物の買い取りに関しても、申請がなかなか通らない。

 また、集合住宅ではないのだから、水道管・電気関係・電話線(タイではこういうものに故障が多い)から税金の納入・借地金交渉・建物や土地の補修・安全対策(ガードマンとの契約など)・荷物の受け取り・停電対策までを自身やその家族で行わなければならない。
契約書などはほとんどがタイ語となるだろうから、相応の語学力を身につけるか、家族にその役割分担ができていないと難しくなる。


B コンドミニアム

 在タイ駐在員のほとんどは、会社や前任者などからコンドミニアムの紹介を受けるだろう。
コンドミニアムはもともと賃貸ではなく販売目的で建設されるが、部屋を買い取ってオーナーとなり、賃貸に回すことがよく見られる。
企業としては、海外派遣中に事故にあったりすることを絶対に避けたいので、セキュリティーがしっかりしたコンドミニアムは人気物件となっており、バンコクでは空室待ち状態のところもある。

 階下にはちょっとしたホテル並みのロビーがあり、プールやトレーニング・ジムが併設され、子供用の遊び場が確保されていたりもする。
中には各号室にプールが設置されているようなところもあり、舌を巻いてしまう。
3LDK以上が標準で、アヤさんと称されているお手伝いさんを雇う家族が多いため、専用の小部屋が用意されている場合もある。

 コンドミニアムのレンタル・ルームでは、部屋の家具・調度品はもとから用意されているので、自身が新規に何かを買い足すときには、トラブルにならないようオーナーに相談しておく必要がある。
また、水道代はユニット料金だったり固定料金だったりと、アパートと同じ方式が多いが、電気代は電気会社からの請求をそのまま払い込むことになり、アパートに比べて光熱費が安くつくケースが多い。
電話代についても、直接電話会社からの引き込み線を使用するので、余計な出費はない。
インターネットもこの線の利用で直接支払いができるところがほとんど。

 土地の購入ができないことから、日本人の住居購入や不動産投機としてはコンドミニアムの購入が一般的。
ただし、外国人の購入の場合には頭金が相当に大きい。
そして、これはタイ人とも共通しているのだが、タイでの新築コンドミニアム購入に関しては、業者による建築資金獲得のために、建物が起工する前の建設予定段階での支払いとなる。
このため、資金投入には慎重な吟味が不可欠である。


C サーヴィス・アパートメント

 基本的にはコンドミニアムと外見上よく似た物件だが、ホテルのようにベッド・メイキングや掃除をしてくれるサーヴィスがある。
また、買い取りは基本的にはできない。
コンドミニアムよりもコンパクトなところが多く、単身赴任者に人気がある。
近頃では専用のトゥクトゥクが用意されていたりもする。
ホテル式サーヴィスをやめてもらっても、料金はさほど安くならないことがほとんど。


D マンション

 コンドミニアムとの違いは、賃貸目的として建設されているかどうか。
そして、サーヴィス・アパートとの違いはホテル機能のようなサーヴィスの有無。
そのグレードはピンからキリまであるが、家賃はだいたい80000バーツくらいまでのもので、欧米でいう「フラット」にあたる。
公園や公共スポーツ施設の少ないタイでは、プールやトレーニング・ジムが併設されている場合が多い。
電話については、直接電話線を引かせてくれるところと、マンションのルーターを経由して従量制になっているところとがある。
インターネットは月極め料金を提示して、それ以外の接続を認めないところも多い。


E アパート

 マンションよりもさらに庶民的なのが、アパート。
高くても家賃が15000バーツを超えないあたりまでを差す。
階下にミニ・マートや洗濯屋・美容室・家電の修理屋などが併設されている場合が多い。
ミニ・マートや近くの屋台から気軽に出前がとれたりする気軽さがいい。
各部屋への電話回線は内線を経由するので、電話料金も従量制をとっている場合が多い。
インターネットに関しては月極め料金を設定したワイファイ使用を提示している張り紙をよく見かける。
光熱費・水道料金もともに従量制が多く、水道料金が固定となっている場合には300バーツ以上となっていたりする。
基本的に用意されている調度品はベッド・クローゼット・鏡台と固定電話。テレビや冷蔵庫をレンタルしていることも。


F ホテル

 旅行者だけがホテルを利用しているわけではない。
シンガポールなどでは単身赴任の場合ホテル暮らしとなっているケースも多い。
だが、タイの場合、賃貸住宅が多く、家賃も割安であるため、ホテル利用者はまれである。
ただ、ホテルの上階がマンションとなっていたり、マンションがデイリー・ユース・サーヴィスを行っていたりする。
もちろん、こういった制度をつまびらかにしていないホテルでも、長期利用に対する割引交渉は可能である。


G ゲストハウス


 安さが売り物のゲストハウスだが、ホテル同様、月換算すると同程度のレヴェルでこれよりも安い物件も存在するので、タイでは一般的ではない。




2 近所づきあい

 他所でも述べたとおり、タイは実質的には階級社会なので、自身の暮らしから他の階級の人々の暮らしぶりがよくわからないようになっている。
が、一般的には気さくである。以下、アパート暮らしの僕の体験からお話ししたい。

 タイは基本的に自由な国。僕たちが異邦人であることも含めると、さらに人間関係としても自由な立場にいられる。挨拶をすれば笑顔が返ってくるし、挨拶しないことが何かのネックになったりするようなことはほとんどない。

 たとえばある日、Aさんがいつも挨拶しているBさんに「キン・カーゥ・ルー・ヤン(ご飯は食べた)?」と声をかけたが、まったく相手にされなかったとしよう。
日本だと、AさんはBさんについてのさまざまな憶測に心配も立腹もするだろうし、さっそくBさんについての諸説を近所の噂に変えてしまうと思われる。
ところが、タイでは誰もそんなつまらない事は気に留めないし、聞こえなかったのか、考え事に気を取られていたのか、たまたまBさんの虫の居所が悪かったのか、いずれにせよ「しかたない」とサッパリあきらめる。
たとえここでAさんが同じく近所のCさんに「どう思う?」と尋ねてみたところで、「マイ・ルー(知らないわよ)」と気のない返事をされるのがおちだ。
「話の腰を折る」とか「機嫌を伺う」という感覚も薄いようだから、実にあとくされない。

 ただし、異邦人が興味の対象にされやすいのは万国共通。
先ほど噂話にもならない例を挙げたが、興味の沸くことなら、タイ人は根っから噂話好きなので、一度ターゲットとなると考えの及ばないようなことも起こってくる。

 ある日、自宅の電話が鳴った。
知人の誰一人として携帯電話以外の番号を知らないはずなので不審ながら受話器を取ると、「サバーイ・ディー・マイ(元気)?」と耳に覚えのない女性の声。
「誰ですか?」
「ご飯はもう食べた?」
「あの。誰なんですか?」
「仕事は終わったの?」
「いや、あの、だから…。間違い電話じゃないですか?」
「今日、ヒマ?」
「きっと間違い電話ですよ。あなたが誰なのか、僕は知らないですから。あの、ちょっと、これからすぐに出かけなければならない用事があるんで、それじゃ…」
すると、受話器の声はこう答えた。
「あなたは私のことを知らないだろうけど、私はあなたのことを知ってる」
「……!」
 後から考えると、呼び出し音は外線と内線とで違う。
同じアパートの住人だったことを考えると、やっぱりタイ人の垣根は低かったのだが、それにしても意表を突かれた。
日本で同じことが起こったときの恐怖感を彼女に伝えたとしても、やっぱり理解されはしないだろう。

 大家やヤーム(ガードマン)との関係も、その人の性格しだいで挨拶すらしないこともあれば、酒を酌み交わしたり、お互いの細かい相談に乗り合ったりすることもある。
また、外食の残り物をあげることは失礼にあたらないようだ。
ヤームのおじさんの喜ばれるので、僕もそうしている。
こちらも、日本のマンション管理人さんとの関係とは比較することすら思いも及ばない心理的な近さがある。


3 賃貸

A 家賃

 高層コンドミニアムや大きなマンションになると、部屋ごとのオーナーがそれぞれ違ったりする。
これは、買い取りした部屋を貸したり、人気物件の又貸しをしたりしているせいだ。
もちろんこういった場合、内装や家具・調度品などがそれぞれに異なり、家賃に反映される。
アパート・クラスになっても値段の差が出るのには、居住年数や大家とのつきあい、タイ人なのかどうか、などがかかわってくる。
そこに目くじらを立てるかどうかは自由だが、タイの賃貸契約では大家が圧倒的に有利な状況にあり、契約者の権利を主張しても空しい場合が多い。

● 家賃の目安
一軒家
 ほとんど知らないが、バンコク市内で5万バーツの掘り出し物を見たことがある
コンドミニアム
 だいたい1万バーツ〜12万バーツ
サーヴィス・アパート
 同グレードのコンドミニアムやマンションに5千〜1万バーツほど足した程度
マンション
 1万バーツ〜8万バーツくらい
アパート
 1000バーツ〜35000バーツ程度
ホテル
 1泊500バーツ〜
ゲスト・ハウス
 1泊80バーツからの宿があったが、今はどうなっているのか知らない


※ これ以降、アパートの場合を基本にお話しします

B 賃貸契約


 敷金にあたる「マッチャム・ホン(デポジット)」を3カ月分支払うのが一般的だが、大家によって多少の差がある。
退去時に部屋のコンディションが悪いとここから改装費を差し引かれるが、問題なければ全額返却される。
日本人は借家となると気を遣って部屋に極力手を加えないように心掛けるが、タイ人の場合はどんどん自分好みに変えてゆき、ポスターなども貼り放題。
そして、マッチャム・ホンがいくぶんか戻ってくるだろうということなどは眼中にない。

 部屋を見せてもらい、家賃・電気代・水道代・電話代などを確認して、納得できたら引っ越し日を決定して予約。
このときに予約金を要求されることが多いが、これはのちの支払い時に相殺してもらえることが多い。

 パスポートのコピーや契約書にサインしてマッチャム・ホンを支払い、領収書を受け取れば契約完了。
この領収書は、のちの返金時に必要なので、必ず保管しておくこと。

 部屋の鍵と内線電話を受け取ったら、その日から部屋を使える。


C 毎月の支払い

 家賃の支払いは月極めで、基本家賃に電気代・水道代・電話代が加えられた請求書が事前に各部屋に届くようになっている。
何の告知もなく家賃が上がっている場合は、大家に尋ねてみよう。
タイでは新規入居者には家賃を釣り上げて、以前からの入居者には据え置きにするという二重価格がよく見られるので、もしかすると誤って新規入居者扱いを受けているのかもしれない。

 光熱費と電話代はユニット価格になっており、1メーターあたりいくらで計算されているはずだ。
水道代は同じ形式か固定式かのどちらかになっている。
いずれも、極端な数字になっていたときには、大家に相談してみよう。
光熱費の場合はクーラーなどの漏電が原因かもしれない。
おおよその目安として、40平米くらいのスタジオ・タイプ(シングル・ルーム)の部屋で、クーラーを1日に4〜6時間程度使用し、家庭用冷蔵庫・テレビ・パソコン・温水シャワーを所持していたとして、光熱費に1000〜2000バーツ+水道料金に100〜300バーツほどになるだろう。

 銀行での口座引き落としが一般的ではないタイでは、家賃の支払いは毎月自身で受け付けに納める形になる。
請求書と家賃を渡し、領収書を受け取って完了。
指定された期日までに支払いできなかった場合、1日単位で決められた加算料金の請求を受けることになる。


D 解約

 部屋を出る1ヶ月以前に大家に申し出ることになっているケースが多い。
これを守らなかった場合には違約金が発生する。
契約時に受け取った領収書を提示すると、引き払う月の家賃と相殺して、マッチャム・ホンが返金される。
返されるときの部屋のダメージによって、こちらもマッチャム・ホンから金額が引かれることもある。
壁や天井などに何かを個人的に取りつけたりしていた場合、開けた穴一つに対していくら、という差し引きになるケースが多いだろう。
ただ、温水シャワーや浄水器など、大家が設備として引き取ってもいいと考えられるようなものを残していく場合には、買い取りの相談に乗ってくれたりもする。
引き揚げる日から考えて当該月の家賃の日割をしてくれるかどうかは大家次第。


4 初めての用意

 引っ越し当初は、何かと大変であろう。ここでは、予測のつくものからちょっとしたご案内を。

A 買い物

 その日から始まる暮らしのために、まずはこんなものを購入するはず。
・寝具
 アパートの場合、ベッドはついていることが多い。シーツや枕・タオルケット(北部の場合は布団や毛布も)は自分で購入。必要によっては抱き枕なども。
・清掃用具
 ほうき・モップは必需品。タイでは虫がつきやすいので、床にカーペットを敷くことはあまりないから、掃除機は必要ない。
・ハンガー
 クローゼットは用意されていることが多いので、ハンガーだけ購入。ただし、洗濯屋を利用したらタダでもらえるか、貸してくれる。
・トランス(変圧器)
 日本からの電化製品は100V対応だが、タイのコンセントは220V。そのままでは壊れてしまうので、トランスを通す必要あり。
・携帯電話
 あとで述べます。
・入浴セット
 石鹸(ボディー・シャンプー)・シャンプー・リンス・トリートメントなどは日本と変わらない気分で買える。
・整髪料
 ギャツビーのヘア・ワックスくらいはある。女性のものはよく分からず、すみません。
・ドライヤー
 長く使うことを考えたら、500バーツ以上のものを買った方がいい。
・扇風機
 クーラーがあったとしても、きっと重宝する。
・テーブルタップ
 部屋に用意されているコンセント位置に配慮がないことが多いので、そのカヴァーに。安いものは差し込んでもプラグがぐらぐらするので、日本でもよく見かける形のものを。

反対に、こんなものを購入するときには、ちょっと考えてみて。
・洗濯機
 1槽式も多いが、機器の痛みの早いタイでは、壊れにくい2槽式も悪い選択ではない。
・冷蔵庫
 タイでは冷凍庫にすぐ霜がつくので、お薦めは冷蔵室と冷凍室のドアのセパレート式。
・ガスコンロ
 大家が部屋での火器使用を禁止している場合がある。
・布団・毛布
 バンコクくらいだと普通は必要ない。
・食器など
 自分が今後どれくらい外食に頼るのかをよく考えて。
・ござ・カーペット・三角枕・籐製品
 虫がついている場合があるので要注意。刺されたあとはしばらく腫れが引かない。
・温水器
 シャワーの水量が不足している場合には、作動しないことも。
・レインコート
 蒸し暑いタイでは、バイクに乗るときくらいしか使おうと思えない。
・傘
 スコールが多いので、持って出かけても帰りは晴れになったりする。折り畳みがお薦め。
・靴・鞄
 同じく、雨の対策を考えたものを購入した方がいい。
・アイロン・アイロン台
 洗濯屋に頼むと安いので、独身男性には持ち腐れになることも。


B 届け出

 実は、ヴィザ以外には本当に大切なものは少ない。
・ヴィザ:こちらは日本で用意して来ていることがほとんどだろう。必要な場合には、カンボジア・ラオス・マレーシアなど近隣諸国のタイ大使館を訪問する。
・ワーキング・パーミット(労働許可証):会社で手順の説明があるはず。
・就学証明書:こちらも学校で説明をしてくれるはず。
・在留証明:日本大使館の領事部に届ける。数分で終了。ただし、届け出るかどうかは、実は任意に近い。
・銀行口座開設:あとで述べます。
・日本人会:入会したければ。あまりメリットは感じられないが。
・運転免許証:日本で国際免許証を発行してきたら、日本大使館発行の在留証明書(英文)とパスポートのコピー(写真のあるページとヴィザのあるページ、タイへの入国日のスタンプがあるページ)、健康診断書(近くのクリニックで発行してもらうと安価で手早い)を添えて、所轄の運転免許センターに提出。数時間で書き換え完了。もらった後は近くでパウチをしてもらうといい。


C 銀行口座

 以前は旅行者でも開設できたが、現在ではワーキング・パーミット(労働許可証)の提示が必要な場合が多い。
タイ最大手のバンコク銀行で必要なものはパスポートのコピー(写真のあるページとヴィザのあるページ、タイへの入国日のスタンプがあるページ)のほか、ワーキング・パーミット(労働許可証)の必要なページのコピーと現金500バーツ(初回最低預入料金)。
他の銀行ではここに在留証明書(英文)や会社発行の給与証明、それに現金5万バーツ程度(初回最低預入料金)が必要となる場合もある。

 デイヴィッド・カードにするとスーパーなどでキャッシュレス・ショッピングができるが、即日引き落としとなる。マスターやVISAなど、クレジット機能をつけることもできるが、こちらは別途申請が必要。

 日系の銀行としては、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行があるが、店舗やATMの数が相当少ないことと、円建て口座の開設にも各種のハードルが高いことから、個人で口座を開設することに大きなメリットは感じられない。


D 携帯電話

 短期であれば日本の携帯電話ローミングでもいいかもしれないが、タイでは携帯電話の購入が手軽である。

 まず、携帯電話そのものは新品から中古まで幅広い価格帯で販売されているし、その販売店も相当な数に上る。
また、個人所有の場合、通信会社と契約せずとも、コンビニエンス・ストアなどで通信会社別になっているシム・カードを購入して携帯電話に装着するだけ。
あとは必要に応じて、シム・カードと同じ通信会社のプリペイドをする。
以前はプリペイド・カードを使用していたが、2010年からは、コンビニで買い求めた場合、レシート用紙に番号が記入されたものを受け取るシステムも採用している。

 近頃はシム・カードを複数差し込みできるスロットが用意されており、1台の携帯電話で複数の電話番号を使用することができるようになっている。
写真や動画などの機能も一般的。

 ただ、タイ最大手のノキアの携帯電話では、使い勝手が携帯電話ごとに違っていることが多く、どんな機能がどこにアクセスすれば得られるのかが非常に分かりにくいほか、旧型機との互換性が低い。
また、音楽を聴くときにイヤホンを接続するプラグの形が一般的なものではないため、実質的にはノキアの専用イヤホンを使用せざるを得ない関係で、音質が低いもので我慢する必要がある。

 ブルートゥースなどの通信機能もあるが、僕はそのあたりに不慣れなので、申し訳ない。

 スマートフォン時代を迎え、iPhoneやブラックベリーなどの携帯電話がタイでも飛ぶ鳥を落とす勢いで広まっている。
日本語環境もばっちリで、使用にストレスが少ないだろう。ただ、こちらも僕自身が使用経験を持っていないので、割愛させていただこう。


E テレビ

 薄型テレビが多くなってきているが、ブラウン管型もまだまだ主流。
地デジ切り替えの噂などもまだ聞かず、当分はこの様子が続きそうである。

 部屋にテレビ用のケーブルが来ているはずなので、そこに同軸ケーブルを接続すればよい。
テレビの番組設定は、リモコンでオートを選べば自動割り振りをしてくれるので便利。

 NHKワールド・プレミアムなど、海外の番組を楽しむためには、有料放送会社と契約し、小型パラボラ・アンテナの設置が必要。


F インターネット

 最近では4Mを基本とした各部屋への有線/無線LANが整備された物件が多い。
料金体系や使用時間制限などはまちまち。電話線の個人引き入れを嫌がるところが多いので、これにはあらかじめ調査が必要。
僕の場合は個人契約で、電話線保持固定料金を含めて、2Mで月額700バーツ程度の支払い。毎月封筒が送られてきて、払い込みはコンビニエンス・ストアーで行えるようになっている。


G 情報収集

 街やタイそのものの様子を知るには、ガイドブックも有効だし、日本同様インターネットの存在は実に大きい。
特に、クーデターや大型デモが起こったときには、テレビ放送が止まってしまうことが多く、電話線が止められない場合にはリアル・タイムの情報の多くはインターネットから来る。

 また、日本語のフリー・ペーパーは各紙ともに専門性が出ていて、さまざまな読者層に人気である。
掘り下げが深いのに小難しくはならない「DACO」、日本の情報を主に扱った「WISE」のほか、女性をターゲットとした「バンコク・マダム」や「moca」「WOM」、新聞形式でタイの政治・経済を追う「newsclip」、オヤジに人気の「タイ自由ランド」、チェンマイに特化した「ちゃーお」など、個人ではなかなか知り得ない情報が満載である。
これらのフリー・ペーパーは日系書店などに置かれている。


5 家事

 ここではタイならではの家事事情を中心に見ていこう。

A 掃除
 暑いタイでは、床がタイルやフローリングで、そのまま生活するパターンが一般的。
そのため、ほうきで掃いたあと、モップで水拭き。
水分もすぐに蒸発する。カーペットなどを使用している場合は掃除機もいいかもしれないが、基本的には必要ない。
木材が使用されている場合は、赤蟻・白蟻に注意。最も大きなベランダには低い位置に蛇口がついているので、ホースをつけておくと便利。

 アパートの場合、ルーバー窓と呼ばれる、短冊形のガラスが何枚か並んで取り付けられていて回転ハンドルで開閉するブラインドに似た窓がついている場合があるが、拭き掃除の場合、ガラスの縁で手を切らないように気をつけよう。

 バンコクは特に埃っぽいので、普段手の届かないところの拭き掃除も、日本にいるときより回数を増やした方がいい。

 タイルの目地の汚れ取りをする際、クレンザーの販売をあまり見かけないので、日本帰省時の買い物リストに入れた方がいいかもしれない。

B 洗濯
 集合住宅の多くに、洗濯屋が開業している。
日本とは比較にならない安さなので、積極的に利用したい。
ただ、集合住宅内にある洗濯屋の場合、洗濯の終わった衣料をドアノブに掛けておいてくれるというサーヴィスがあるが、盗難に遭ったり、間違えて別の部屋に届けられたりすることもあるので、店で取り置きを頼んでおいたほうがいい。
セット料金があるので、その利用がお得。

 洗濯機は1槽式のほか、日本では見かけなくなった2層式もまだ現役バリバリで頑張っている。
僕自身は、故障しやすさのことも考えて2層式にしている。

 洗濯物はすぐに乾く。雨季にもほとんど気になることはないので、乾燥機の必要性はあまり感じられない。
ただし、高層マンションでベランダが存在しない場合には必要であろう。

 洗濯粉・柔軟剤・洗濯ネット・洗濯ばさみ・洗濯ロープなど、必要なもののほとんどが簡単に手に入るが、たこ足型の物干しは少ない。
また、竿竹は見かけない。

C 炊事
 炊飯器は各種揃っている。

 コンロは電気式・ガス式があるが、新しい物件には電気コンロが多い。
タイには都市ガス管ラインはないので、プロパンに取りつけるか、カセットコンロを使用する。プロパンの使用ができる場合は、大家が取り計らってくれたりもする。カセットコンロのガスボンベは、バンコクでは手に入りやすい。

 電子レンジやホットプレートなども一般的。

 包丁は出刃や研ぎ石などを見かけない。
代わりに、なたのような大きな包丁ならどこででも手に入る。
また、キッチンに包丁を立てておくスペースの取り付けがないので、管理を考える必要がある。

 食器にはプラスチックやステンレスが用いられているものが多いのが特徴。
もちろん陶器も存在する。すり鉢はダイソーなどで小型のものしか見かけない。

 箸はタイ人も使用するので、一般的。
ただし、日本式の先が細い塗りの箸は見かけない。
フォークやスプーン・レンゲも普通にある。

 ラップは売っているが、日本より高価。アルミホイルもある。

 シンクに置く生ごみの三角コーナーは、ダイソー以外ではあまり見かけない。
水分の出るごみは、タイ人の場合、そのまま生ごみとして袋に詰めて捨てている姿をよく見かける。


6 買い物

A 市場
 タイでは市場が生き生きしている。
仕出しのために業者が買い付けに来るような大型市場から、近くの交差点付近に出る小型商店の並んだ一角まで、値段が安くて商品の鮮度も比較的よく、おまけに大口購入のときには値引き交渉も可能だ。
こうして書いているからにはもちろん、個人での僅かな買い物でもまったく問題なし。量を自由に選んで買えるのも嬉しい。
 

〜つづく〜

7 余暇
8 行事
9 交友
10 気候


物件を自分で探す

タイで引っ越しをするなら、こんなことに注意しながら、僕は部屋を探します。

・ベランダの懐が深い
   タイでは一年の半分が雨季。
   せっかく洗濯しても、仕事して帰ってきたら洗濯物がびっしょり、というのはつらい。
   ベランダに奥行きがあれば、雨の心配をしなくてもよくなる。

・日当たりがきつすぎない
   南国の日差しは容赦ない。
   窓が大きな部屋の場合は、備えつけの(あるいは新たに購入する)カーテンにどれくらいの遮光性があるのか確かめておきたい。
   壁が焼けて暑くなる部屋にもご用心。

・階が高い
   大気汚染のひどいバンコクでは、少しでもきれいな空気を取り入れる大切な方法。
   表通りや階下の音が距離的に入ってきやすい。
   ただし、階が高すぎた場合、停電時の帰宅が非常につらくなる。

・緑と隣接している
   こちらも空気が良くなるためには大切。
   隣の建物が近いと風の抜けが悪く、音が壁に反射して他の部屋の音がよく聞こえてしまう。
   目下すさまじい開発中のバンコクなので、建設予定がすぐにでもたちそうな場所は敬遠した方が賢明。
   ただし、階が低くて木々に近すぎる場所だと、虫が多くなる。

・ガードマンがしっかりしている
   泥棒騒ぎなどから縁の遠い生活を続けているが、やはり油断は禁物。
   肝心の夜間にガードマンが居眠りをしていることは多い。
   余計な噂をしない人がいい。

・カード・キーなどの扱い
   入口にカード・キーがかかる方が安心だが、一方で、客人が帰るときにも自分のカード・キーで開けてあげなければならないところもある。

・コンセントが使いやすい
   古いタイプの物件だと、コンセントのソケット穴が大きすぎてすぐにプラグが抜けてしまう場合がある。
   あまりしっかりと考えて設計されていない場合が多く、必要な位置にコンセントがあるかどうか確認しておくとあとで便利。

・クーラーが古くない
   水漏れしだしたり、途中でまったく効かなくなったりするものもけっこうある。
   クーラーは部屋にあらかじめ据えつけられているのが一般的であるため、買い替えると引っ越し時にもめる原因になる。
   大型クーラーは消費電力が高いうえに、かけっぱなしでは寒すぎることがある。

・床がタイルである
   木のフローリングは落ち着きも風格もあるが、虫がわく原因になりやすい。
   タイルだと掃除が楽。何かこぼしてもシミになりにくい。
   ビニール・タイルは劣化するし、目地から割れ始めたりもする。陶器のものは意外と丈夫。

・水の出がよい
   シャワーや洗いものでは、やはりしっかり水が出てくれるのが爽快。
   温水器を自分で取りつけた場合、現状よりも水の出が少なくなることを念頭に置きたい。

・水はけがよい
   排水溝入口の形やつき方によっては、すぐにつまるようなものがある。

・大家がいい人である
   前述のとおり、タイでは大家に大きな権限があるので、大家の人柄で住環境が大きく変わりがち。
   蛍光灯が点滅し始めた、クーラーの調子が悪いなど、据え付けのものであるかぎり大家が対処してくれるのがタイの常だが、これも大家による。

・クリーニング店が利用しやすい範囲にある
   独身の身にとっては、安いクリーニング店の存在はありがたい。
   決まった枚数でのディスカウントもあって、さらに利用しやすい。
   マンションやアパート内にクリーニング店がある場合には、仕上がったら自身が不在でもドアのノブにかけておいてくれる。

・ATMが近い
   部屋に大金を置いておくのは、いくら金庫があってもちょっと不安。
   実際、バンコクには至るところにATMがある。

・コンビニが近い
   買い物だけではなく、コンビニで電話代やインターネット接続料金(直接電話線を引いている場合)などの支払いができるほか、携帯電話のプリペイド・カードがすぐに買えるなど、利点は大きい。

・交通機関が近い
   最低でも、タクシーがすぐにひろえる場所がいい。
   スコールのときには移動にどうしようもない場合がある。
   BTSや地下鉄に近いと、行動半径が広がる。
   バスなどに乗り継がなければならなくなると、暑かったり雨がひどかったりするタイではこれがけっこう面倒になる。

・すべてのメーターが自分でチェックできる
   電気・水道のメーターが自分で確認できない物件があるので注意。

・自身で電話線を引くことができる
   自宅電話を活用する場合やインターネットに接続した場合には、賃貸でのユニット料金より安く済む場合が多い。
   ※ 自身で電話線を引いた場合の回線保持固定価格は、毎月100バーツ必要。


〜つづく〜

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