LAMPANG

古き良き時代の名残

 チェンマイ滞在中に偶然親しくなったタイ人の女の子から、彼女の友達こみでデートの誘いがあった。男としての感情もあったが、行く先々で起こる楽しいハプニングを大切に旅したい僕としては、願ってもない申し出だった。しかし、彼女の仕事の休日である次の日曜を待つのに、ちょうど話をもらったのが月曜のことだった。もちろんチェンマイでゆっくり過ごすこともできたし、トレッキングなどに参加するという手もあった。しかし、山岳地域に入ってしまっては、予定どおりの期日に戻ってこれるかどうか、雨季だけに怪しいし、なにぶん、日本に戻るフライト・チケットの有効期限3ヶ月をできるだけ有意義に使ってタイを周遊したかった僕には、このあとイサーンを廻る計画もあって、一つところにとどまりたくない思いが強かった。そこで、国鉄ですぐに出られるランパーン行きのチケットを手にしたのだった。

 歴史を刻み込んだ木造の家があちこちに見られるような、古き良き時代を偲ばせる街並みは、一目で旅人を惹きつけるものがあった。タイ族が現在の地で力を確立する以前、モン族ハリプンチャイ王国を興した、その名残りが幾許か見えるような気がする。この街の名物として残っている馬車の存在も、そんな思いをかきたててくれるに違いない。人々の表情は穏やかで、北タイ独特の爽やかさに包まれている。その割に旅行客が多くないので、客引きに声をかけられることもなく、落ち着いた散歩ができる。たまたま泊まった木造の宿も、民家の一室を貸してもらったような雰囲気があり、すこぶる居心地がよかった。川に架かった橋から眺めた夕日は、映画のシーンのように甘く切ないひとときを提供してくれる。

 名残り惜しくもチェンマイに引き返した僕は、約束どおりのデートで笑顔を浮かべるだけで、彼女たちの話すタイ語がちっとも理解できず、「何か話して! でないと楽しくないよ!」という言葉だけは何とか理解して、それでもどうしようもなく、言葉の壁の大きさを改めて知ることとなった。


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footprints

道端にて

唐辛子が並べられていた。
ザルやビニール袋にすら入っていないところがいい。

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