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閑話休題四方山噺


その3.沖縄・朝鮮・フランスそして堺

 お盆休みに沖縄に行ってきました。大阪に戻ってきた翌日に開かれた当紙ライターの親睦会で、その日出席した8人中3人までもが沖縄から戻ってきたところだったことが分かってけっこう感動したのですが、その成果は次号に沖縄特集として回しておきましょう。
 沖縄でも米軍基地撤廃に関する県民投票のお話を耳にしたり、ビラを貰ったりしていたのですが、帰阪して沖縄関係の本を読み漁ったり(沖縄は出版の盛んな土地です)、大阪の中でも沖縄から移ってこられた方の多い大正区に出掛けたり、そうこうしているうちに「差別」のことが胸にハッキリとある位置を占めるようになりました。
 それまで中国に朝貢する形だった琉球は、1609年から薩摩藩の支配も受けるようになり、やがて日本に併合されました。そして、少数派民族として本土の人々から差別を受け続けたわけなのですが、そんな中でも沖縄本島の人達から差別を受けていた八重山(石垣島を中心とした日本最南端の諸島です)出身の大工哲弘さんは、八重山民謡だけではなく、「ウチナージンタ」と「ジンターナショナル」というアルバムでかつての労働運動歌や中国侵略を鼓舞した歌を披露している。しかも、とてもよく響く明朗な声で。また、「スタジオ・ヴォイス」誌で初めて知った在日朝鮮人の川西杏さんもこれまで長く歌って来られたなか、日本の軍歌も数限りなく披露されてきたそうです。また、彼の作「従軍慰安婦・幸子」という歌では、「日本人に殺されろ、朝鮮人の女は慰安婦になれ」といった内容を書かれているようです。この痛烈な批評! この赤裸々なえぐりだし! 大工さんは市役所勤め、川西さんは不動産会社の経営と、歌手とは別に本職をもっておられる点も見逃せません。それから、このところすっかり日本でも有名人になってしまったセルジュ・ゲンズブール氏もロシア生まれでフランス育ち、そしてユダヤ人としての血をひいているのですが、過去、胸に「イエロー・スター」というユダヤ人判別のための印をドイツ軍につけさせられ、強制労働させられた経験があるにもかかわらず、「ナチ・ロック」という曲で「みんなでナチ・ロックを踊ろう」とユダヤ人を茶化してしまっています。
 さて、ここで僕が思うのは、差別を表現するスタンスのことです。僕等は大工さんや川西さん、ゲンズブールさんのように歌い、曲を書けるでしょうか? もちろん歌声や作曲能力のことではありません。僕らに、そんなきわどい内容の歌を歌ったり、作品を公にできるのか、という意味です。きっとできないでしょう。差別問題は微妙なものであることは分かるし、デリケートに考えるべきことではあります。けど、だからこそ安易に「単純にはいえないことなので…」とか「物事にはいろんな側面があるから…」とすぐに問題を棚上げしたり、正論は正論でも「差別はいけない、だからするな」的な、教科書のように平板なことしか僕らが言えて来なかったことも事実でしょう。「差別」の前に出たときの僕らの事なかれ主義はどうしたものでしょう。まるでこの国の政治家みたいな形相ではないですか。
 この夏、堺市民である僕はO-157のせいで差別を受ける側に回りました。なんでも、東京ディズニーランドには堺市民専用駐車場が完備されていたとか。さすが、大資本のやることはケタがちがうね。









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