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レヴュー07

音楽    ロック・アラウンド・ザ・ワールド(オーディブック)

最初に。「オーディブック」はバンドやミュージシャンの名前ではなく、このコンピレーション・アルバム(編集盤)の発売元なので、お間違いなきよう。

ポップス全盛の今でこそ少し様子が変わってきたが、ロックは全世界を巻き込んだワールド・ミュージックの一形態だ。アメリカで発生したロックン・ロールが世界の各地に広まり、どのように消化されたのか、それを追ったのがこのCDだ。

日本ではかつて、日本語とロックはマッチするのか、という論争に沸いたことがあった。母音ばかりでできた日本語のベタッとした発音では、ビートの強いロックのフォーマットに乗りにくい。それに、それまで親しまれてきたメロディの影響も残り、国産のロック曲には当初、演歌の流れを汲むものが多くあった。それぞれの民族の言葉で歌われ、それぞれの民族の文化の影響を受けて様々に変質したロックを聞くと、各地域の人々がオリジナルのロックに近づこうと努力した姿勢と、それでもどうしても立ち現れる民族の血が見えるようだ。そして、世界中の若者を魅了してやまなかったロックの勢いが、ここには真空パックされている。

オーディブックは諸事情(たぶん著作権法の改悪のため)があって閉鎖される。お求めの方は急いでください。なにせ、CD時代になって、音楽業界はアルバムをより使い捨てにさせようとしているのだから。


書籍    日曜日の遊び方 森枝卓士の『酒肴三昧』(雄鶏社)

僕は料理するのがけっこう好きだ。自炊しているわけではなく、あくまで趣味なので気が向いたときしかやらないからなのだろう。こういう日曜大工ならぬ《日曜料理》にもってこいなのがこの「日曜日の遊び方」シリーズだ。

このシリーズは料理のハウツー本ではない。マリネとサラダの違いや旅行中のシチリア島で見た茹でダコの話など、日曜料理を中心として書き綴られた、ちょっとした読み物になっている。ところどころに配された雑学的コラムもすこぶるおもしろい。また、一般的な料理書はフルページ・カラーでふんだんに写真があしらわれているものだが、「日曜日の遊び方」では巻頭に少しあるだけで、あとは絵しかかない。だけど、このシンプルな絵と文のおかげでかえって想像が膨らみ、それを実際に作って、味わい、匂い、見てみたくなる。材料を頭の中で火にかけたり煙でいぶしたり混ぜあわせたりするだけで、おいしさがほしくなる。そう、ときどき、写真入りの料理書は見てるだけで満足してしまうことがあるんだな。

時間のある日曜日、夕方のビールを楽しむのに、お昼に買い物にでかけたあと台所でちょいとアテを仕込んでおく。そんな休日も悪くないんじゃないだろうか。

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