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レヴュー13

映画   私見東南アジア映画事情

どこか旅行に出て、ご当地ならではのモノに触れたいのは当然のこと。観光名所や料理、そして映画もしかり。でも東南アジアの劇場ではあんま見かけないんですよね、その国々での国産の映画。僕が旅行していた間なんて、もうそれこそ「タイタニック」の嵐。土産物屋のTシャツやブロマイドから地元バンドのライヴでのピックアップ曲に至るまで、ほんとタイタニックばっかり。旅先で出会ったみんなも「一度見たほうがいいよ。私は四回見て四度泣いた」とかって薦めてくれるんだけど、正直なところ、東南アジアまで来てハリウッド映画は見たくない。

それにしても、タイなんて娯楽大国なのになんで国産映画をあまり見かけないんだろう?旅行中は一度も劇場には入らなかったけど、たぶん中では(インドやビルマでそうだったと友人知人に伝え聞く話のように)観客はヒーローの活躍に拳を振り上げ、悪役ののさばりに舌を打ち、ロマンスに口笛を吹いて大円団に拍手喝采を浴びせていることだろう。みんなきっと映画が大好きなはずだ。新しい劇場も着実に増えているタイでなぜ国産映画のニーズが少ないのか?

あ、そうか、娯楽大国だからこそみんなチマチマ映画作製なんてしてないで、恋人と劇場で大声あげて楽しんでるのか!


美術   新生態藝術環境

旅とは不思議なものだ。友達の友達の友達の、そのまた友達というつながりでたどり着いた店、「新生態藝術環境1で少し呑んだ。

タクシーを降り、総ガラス張りの入り口から中を覗くと、店は工事中に見えた。明かりもついていない打ちっぱなしコンクリート壁のスペースの奥に、こじんまりとしたカウンターと柔らかな照明が灯り、木枠の棚にボトルが配されている。それでようやく、そこがバーであることが分かる。六つほど並んだ椅子の一番奥に腰掛けると、頭の上が吹き抜けになっていて、それがわざとらしい舶来趣味でも変にエキゾチシズムを押し出したわけでもなく、台湾のありきたりな日常のひとコマになっていた時点で、僕はこの場所が好きになった。

背後にフライヤーが置いてあって、そのうちのいくつかはこの店での展覧会の通知のポスト・カードだった。それではじめて、入り口側の広いコンクリート壁のスペースが、ギャラリーになっていることが判った。この日は何も展示はなかったが、その間取りだけでも、僕はひとつの作品を堪能したように思う。二階・三階もギャラリーとして使うそうだ。日本では京都にあたる台湾の古都、台南の街にとてもよく似合う店だった。軽く酔ったのが心地よいまま、僕はホテルまでのタクシーを拾う。重低音を効かせたカー・ステレオを響かせたドライヴァーの兄ちゃんがニヤニヤしながら僕に「香港人か?」と訊く。この落差もまた、台湾らしい。

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