生活者であれ旅行者であれ、ヒトは動く。
「街」とは土地を指すのではなく、ヒトの動きそのものをいう。
だから、街は生きているのだ。

 部屋の扉を開けよう。電車やバスに乗って、自家用車やタクシーに乗って、運河ボートに乗って、自転車やバイクにまたがって、あるいは歩いて、出かけよう。
行き先の解らないバスに飛び乗ったっていい。そこに見えるのは映画やテレビの映像なんかじゃない。
ヴァーチャル云々などではない。
本当の、本物の街だ。
昨日の渋滞にうんざりしたなら、反対方向を目指そう。

 ここでは、バンコクの交通についていくつかのことを書き留めてみたい。
参考になることもあるのではなかろうかと願いつつ。


1 自家用車・バイクでの移動

A 渋滞

 バンコクの道路事情、というと一にも二にもまずは「世界最悪」といわれる渋滞を思い浮かべられるのではないだろうか。
確かに、バンコクの交通渋滞は本当にひどい。
通貨危機に始まるタイの不況転落後は少し持ち直したといわれたが、近年道路に溢れる車の数は増加傾向にあるようだ。
上下10車線あり、高速道路も含めると14車線にもなるバンナー=トラート線でさえ朝のラッシュがある。
ましてや車線拡張がまったく進まないどころか、BTS(市内高架鉄道)で車幅が以前より狭くなったラマ1世通り、プルンチット通り、スクンヴィット通り、パヤタイ通り、パホンヨーティン通り、シーロム通りなどは言うに及ばず、ラマ4世通り、ラーチャダムリ通り、サートーン通り、ラチャダー通りペッブリー通りラマ9世通りラームカムヘーン通り、ペットカセーム通り、チャラン・サニットウォン通り、タークシン通りなど、市内の主立った幹線はすべて混雑を覚悟しなければならない。
しかも、渋滞というよりは停滞が多いので、急ぐ場合はBTSへの乗り換えやバイク・タクシーの利用も考えなくてはならないだろう。
こういうとき、バイク・タクシーは足元を見た料金を言うが、同距離のタクシー料金と同額か+20%程度が交渉の目安ではないだろうか。

 道が狭かったり、車線数が少ないだけではない。
大通りから入った細めの道や路地のことをタイでは「ソイ」というが、このソイは、以前の金持ちが通りから自分の家までの道を私道として開いたものが多い。
そのため、ソイは往々にして袋小路になっていて、幹線道路の補助や抜け道としての役割を果たさない。
もちろんアソーク(スクンヴィット・ソイ21)エカマイ(ソイ63)などの立派な交通の大動脈としてのソイも存在するが、全体的に都市として通り抜けの可能な道路が少なすぎることも渋滞の大きな要因であることはには疑いがない。

 路上駐車の多さも原因の一つである。
タイにも駐車違反はあるが、切符を実際に切られることは日本に比べて相当低い確率であるし、若者が集うスポットでは夜の路上駐車整理バイトが横行する。
彼ら・彼女らは管轄の警察に賄賂を払っているので、そのガイドに従って駐車している以上、駐車禁止に引っかかることはない。
こうして、片道2車線以上の通りでは1車線が駐車用に取られてしまうことが多くなってしまうのだ。

 この他、信号機を設置しても操作をするのは交通整理係の警官に頼っていることも渋滞に繋がっている。
統計資料と緻密な計算の下に車の流れをはじき出して作られた日本の自動信号機とは違い、タイの警官の交通整理は「我こそは!」と警官個々人が意気込んでいるわりには概して下手である。
彼らの信号の切り替え、道に立っての車の誘導は、得てして切り替えが遅すぎる。
ある程度細かく各方面からの車を次々とストップ・アンド・ゴーさせなければ、ひとつの通りが完全にふさがった状態がそれなりの長さで続いてしまうと、後尾に車が次々と列を作るのは当然のことだ。
ある程度車が切れるまで流してあげないと、タイ人ドライバーは警官の制止や信号を無視して強引に我先にと車を突っ込ませかねないという事情にも因るだろう。
ただ、それは慢性的な渋滞でドライバーがイライラしているためでもあるという悪循環を招いている。
それが高じると、大通りと小さい通りの十字路なんかでは、小さい通りの信号が30分も変わらなかったりという半ば冗談のような事態さえ起こる。

 ただ、見た目の混雑振りと運転マナーの悪さではフィリピンのマニラに圧倒的な軍配が挙がろう。

渋滞チェック・ポイント
・橋・踏切は数が多くないので朝夕はとんでもない渋滞を起こしているケースが多い。
・交差点の高架橋は、もともと混雑する場所に建設されているので混みあう。
・交差点の立体交差用地下道は、比較的新しく建設されたもので、意外に混雑していないことが多い。
・一方通行になっている道路は、混雑緩和を図ってその措置がとられているので渋滞が多い。
・他所の渋滞状況については疎いので割愛させていただくとして、エカマイ(スクンヴィット・ソイ63)の利用は深夜から早朝までの数時間以外、渋滞の危険性がいつもあると思っていただいていい。片方のパーク・ソイ(ソイの入り口)からもう一方のパーク・ソイまでの約3キロを抜けるまでに、夕刻(学校の下校スクール・バスと仕事の勤務終了時間がぶつかるあたり)なら2時間かかってしまうこともざらにある。


B 交通マナー

 バンコク市内の交通マナーはよくない。
車優先社会であるのは日本以外のアジア各国でモータリゼーション化が進んだ地域に多かれ少なかれ認められる現象であるが、横断歩行者を認めても車が減速せずにクラクションを鳴らして突っ込んでくることがしばしばある。
台湾や韓国ではドライヴァーとの歩行中のアイ・コンタクトがスムーズなのだが、日本との距離が離れるにつれ、交通マナー意識も隔たりを増すようだ。
世間話で「車に乗ると人が変わる」というが、車道を走る車を「微笑みの国の住人」だと思わないのが賢明だ。

 急激な車線変更が多く、そのため車・バイク・タクシー・バスなど車種・運転者を問わず、ウィンカーを出していないことも多い。
車検制度が日本とは比較にならずゆるゆるのタイでは、もともとウィンカーのみならず、その他もろもろのパーツも壊れていることが多い。
近頃はましになっているが、タクシーでは少し古い型の車になるとスピード・メーターなど各種メーター機器が作動していない場合もある。

 ところが、信号に関しては日本よりもよく守られているといってよいだろう。
ことに関西では黄色信号から赤に切り替わっても多少車が突っ込もうとする傾向があるが、タイの信号は警官による手動式切り替えシステムになっており、実際に辻にいる警官が混雑状況を見て信号コントロールを掌っているため、強引なことができないようになっている。
ただし、多くの交差点では赤信号でも左折だけは可能である場合が多いので、歩行者、運転手ともに注意が必要である(左折可の標識もない場合が多い)。



C 交通ルール・運転における注意点

運転免許証
国際運転免許証を日本で取得すれば運転可能だが、この場合にはやや違反に厳しくなる傾向がある。
取れるのであれば、タイの免許への書き換え、あるいは取得をしたほうがいいかもしれない。
日本同様、タイ発行の自動車免許はタイ国内では身分証明書代わりになる。
パスポートを預けなければならないような事態の場合、代用ともなる。

もちろんタイで運転免許用試験に合格することで取得することもできる。
日本で取るより日数的にも費用的にも抑えられて、うまくいった場合、朝から参加すれば夕方には発行してもらえる。

必要な書類は国際運転免許証からの書き換え・タイでの自動車・バイク免許試験での取得ともに
・日本大使館発行の在留証明か、タイの区役所発行の居住証明(タイでの大家に書類を書いてもらい、区役所に届け出て受理する)
・健康診断書(病院やクリニックで「運転免許書用」だと告げないと、外国人の場合、よくヴィザ用だと勘違いされるが、書式が違うので要注意)
パスポートのコピー(氏名と顔写真の入ったページ・ヴィザのスタンプがあるページ・入国スタンプのあるページ・ホッチキスで止められたイミグレーション・カードの4枚のコピーに、それぞれパスポートと同じサインしたもの)
が必要である(国際免許からの切り替えの場合は当然国際免許も必要)。
提出や試験はすべて、最寄りの陸運局で行われる。

国際運転免許からの切り替えの場合は、適正試験のみ実施される。
・信号機を模した装置を見て、光っているのが何色かを答えるもの
・アクセルを模した装置を踏んで、前方のサインが青から赤に変わった瞬間にブレーキを踏む反応速度を測定するもの
・2本の直立した棒のうち1本をずらした状態からリモコンで動かして、2本がちょうど横に揃った位置で止めるもの
また、以前は色盲検査で、モザイクのようにいくつも点が描かれた本を見せられて色彩の判別ができるかどうかを試すものがあったが、信号機に代わったもようである。

タイで免許を一から取得する場合、上記の適性試験以外に、コンピューターによる学科試験と実際の車を用いた実技事件とがある。
コンピューター・テストはタッチ・パネルを用いた4択試験で、日本語を選択できる(ただし、日本語訳が不自然だったり、それが正誤に関係する場合もあり)。
事前に約2時間、タイの交通標識をまとめた本(こちらも日本語あり)を読まされ、タイの交通に関するビデオを見ることになる(各1時間ずつ)。
ビデオは見たことがないので割愛するが、標識をまとめた本からテストでの出題率は50パーセント程度(この本の日本語訳は非常に正確)。
30問の出題中、25問正解で合格で、所定時間は1時間以内。
不合格だった場合は、もう一度その日のうちにチャレンジできて、もしそれがだめだった場合は、その後3日以内に再テストを受けることができる。
実技試験の方は受けたことがないが、基本は自家用車・自分のバイクの持ち込みだが、料金を払ってレンタルできる所もある。
それまでの間は、実技試験の申し込みをしていれば警察の検問で止められても申請書類を見せれば運転できるので、実技試験のある陸運局へ行く間も心配はない。

シートベルト
着用の義務があり、違反を取られる。
助手席も同じなので、タクシーなどではシートベルトをつけてほしいと言われることも多い。
ただし、現在の日本とは違って、後部座席にシートベルト着用を求められることはない。

ヘルメット
バイクの場合、原則的にヘルメットの着用が義務づけられている。
ただし、ソイの中だけの走行の場合は着用しなくてよい。
これは同乗者も同じである。

右折
タイの信号は、大きな交差点では右折専用に信号が作られているケースが多い。
この場合、右折信号が赤なのに発車すればもちろん違反を取られる(ただし、タイ人はバイクで無視している場合も多い)。
日本のように、直進信号が青であれば右折は可能とはならないので注意が必要だ。
また、時間によって右折不可になる場所もあり、この時間帯には警官が車を誘導している。

大きな交差点では対面通行になっている場合も多く、この場合は片側車線のみ通行が許されているので、右折時に直進車が気にならないが、まれに信号を無視して突っ込んでくるバイクや車があるので、注意するに越したことはない。

日本では直進車が右折車に優先するが、バンコクの道路では後続車が切れない限り右折者の列を作って直進車を待たせることが慣例になっている。
ただ、わずかに出遅れただけでバイク・タクシーが突っ込んできて流れを止められるケースが多いので接触にならないようにしたい。

左折
Bでも書いたが、タイの三叉路、十字路では赤信号でも左折が可能である場合が多い。
これには青矢印の左折マークを書いた標識がついていることもあるが、ないこともある。
標識がない場合は違反を取られないためにも、一応止まってみて、後続の車にクラクションを鳴らされたら左折するという方法を取るのがいいのではないかと思う。

日本よりもバイクの数が多いので、車の場合は左折時の巻き込みを意識した方がよい。
交差点の角の建物や障害になるものが交差点に張り出していて、少し大回りをして転回しないと接触を起こしやすい。
バイクに乗っている場合は、上記のような理由から、巻き込まれには十分に注意が必要。

それ以外の交差点事情
交通渋滞が激しい地点では、時間帯が決められて、平常は開いていない交差点やUターン道路が開いていることも。
この場合、中央分離帯を越えた向こう側が右折専用レーンになっていることも多いので、このあたりは慣れが必要。
もし気づかずやり過ごしてしまっても、タイではUターン場所が大通りに設けられているので、あせらず直進して探そう。

直進:
十字路で自分が直進したい場合には、ハザード・ランプを点灯させて直進のサインとしている場合が多い。
「ありがとう」サインではないので、念のため。
右折車の項でも触れたが、日本では右折車に対し直進車の優先がとられているが、バンコクでは後続車がある限り後から来た直進車を待たせて右折車が列を作ることが一般的なので、念頭に入れておいた方がよい。
バイクの数が多く、車との接触事故が絶えないので、直進時にも左右の確認は怠らずに。

一方通行
政府が市内部の道路拡張になかなか踏み切らないバンコクでは、市内の主要な抜け道に一方通行を設定している個所が多数ある。
しかし、これはあと付けで決められたことなので、道が一方通行に都合のよいつくりをしているわけではなく、2車線の対面通行路が交差点で急に一方通行になっていて気づかなかったりする場合も多々ある。
また、一方通行になっているエリアをたどるとぐるりと周回できるように設定されたルートもあるが、ルート上で急に車線が細くなって、いつもそこで渋滞を起こしていたりもする。
右折に同じく、時間限定の一方通行路もあるので、注意が必要だ。
特に旧市街地であるワット・プラケォや中華街ヤワラート周辺は一方通行が多い。

車線:
ウインカーを出さずに車線変更をする車の率が非常に高い。
また、これとは反対に一度出したウインカーをそのまんまにして直進を続ける車もある。
車線幅も日本よりおおむね狭いので、接触に気をつけたい。
時には狭い道で、車幅より細い中央分離線が引かれていることもあるので、車体感覚はしっかり身に着けよう。

右端車線に右折待ちの車が多いのは当然として、左端車線では乗降に停車するバスやタクシーだけではなく、車線の端で屋台を引いているバイクなどにも出くわすし、ときおり象使いに引き連れられた象に遭遇することさえある。
そのためけっこう強引な車線変更で接触事故になっているのをときどき見かける。

路上駐車
路肩に赤と白の車線がある場所は、路上駐車禁止である。
交差点周辺はこのマークがなくても駐車禁止。
大きな建物の道に書かれているオレンジ色の×マークは、停車も禁止なのでご注意を。

違反ではあるが、夜になると特に、路肩に懐中電灯を持ったタイ人が路上の空きスペースへ誘導する風景がよく見られる。
これも上に書いたことでもあるが、警察やその路上の横にある土地所有者にキックバックを払う条件で駐車を管理するというアルバイトで、もちろんそんなことは違法ではあるが、今のところこのシステムがまかり通っている。
彼らの誘導に従って駐車すると駐車料金を幾許か請求されるが、駐車違反を取られることはまずない。

スピード:
バンコク市内は概してスピードを出す車が多く、特にタクシーにはその傾向が高い。
ゆっくり運転の場合、車線変更で自分の前に入ってくる車に注意が必要だ。
流れに乗ることは大切だが、スピードには気をつけたい。
ちなみに、タイではスピード違反の取り締まりはあまり見かけない。

段差
タイで要注意なのが、この段差。
ソイによくあり、道を横切る形で丸い段差が飛び出していて、スピード防止を担っている。
これに気づかずスピードを上げて突っ込むとすごいバウンドになり、ひどい場合にはパンクにもなる。
バイクの場合はバランスを失いやすいので、夜間は特に注意して減速を心がけよう。

また、場合によっては段差が高すぎて車体の底を擦る場合がある。
これも、どれだけ減速したかがポイントになる。

雨天:
バイクのスリップに注意。
マンホールなど、表面の凹凸も消えツルツルになっていたりする。

バンコク市内ではずいぶん改善も見られるが、車のマフラーに届くまでの浸水にも要注意。
自分の車のみならず、ソイなどでマフラーから水を入れてしまった車が立ち往生してまったく動きが取れなくなるケースもあり得るので、雨季の運転には道を選んだ方がよいと思われる。
もちろん水たまりも各所にあるので、ハイドロプレーニング現象(水のせいでタイヤが地面から浮いて流れる現象)も多く、雨のときの高速運転はできるだけ控えた方がよい。

バンコクは車優先社会なのだなと知らされるのが、スピードを上げてそばを通り抜けてゆく車という車が歩行者の存在をまったく無視して、水しぶきを跳ね上げてゆくこと。
せめて私たちは、知っているマナーで歩行者とすれ違いたい。

バイクだけのルール
高速道路・立体交差の高架橋やトンネルは通行できない。
タイ人がこれを無視して通行しているのも多々見かけるが、こうした場所では出てきたところに警察の検問が立っていることもよくあり、罰金を払わされる羽目になる。

また、バイクに許されているのは基本的に左端車線のみである。
路肩への駐車が慢性的となっている道ではほぼ取り締まられることはないが、バスの停留所で停車しているバスを追い越したところに検問があることも。

★これらの交通規則の取り締まりは全体的に日本よりも緩やかである。
ただ、外国人に対して特に取締りがきつい特定の交差点などが存在し、こういう場所では警察官が目を光らせている。



D 運転免許証の切り替え

運転免許証の取得は日本よりもずいぶん簡単であると聞くが、私にはその体験がない。以下、私も体験した運転免許証の切り替えをご紹介する。

切り替えには
@パスポートとそのコピー
A労働許可証があれば、コピーとともに
B健康診断書
C日本大使館発行の在留証明書(英文)
D国際免許がある人は、コピーとともに
 日本の免許を持ってきた人は、バンコクの日本領事館で運転免許証の英文訳またはタイ語訳と、その翻訳証明をもらって、日本の免許およびそのコピーとともに提出
E写真2枚
が必要である。

陸運局にはチャトゥチャック、バンクンティエン、タリンチャン、プラカノン、ミンブリーの5箇所がある。
インフォメーション・カウンターに上記の書類を提出。
指定された窓口での書類チェック後、色盲検査・視界角度検査・深視力検査・反応力検査があり、最後の窓口で105バーツを払うとタイの免許が支給される。
思ったより大きくて驚かれるかもしれないが、その台紙を近くのコピー屋へ持っていくと、必要部分だけの大きさに切ってパウチしてくれる。
これで免許証らしくなる。


2 タクシー/トゥクトゥクでの移動

A タクシー

バンコクでの移動には、タクシーが非常に便利である。
トゥクトゥクやバイクタクシーでは排ガスをもろに浴びるし、日本とがちがって「駅まで歩いていこう」と思える距離は日本での意識の10分の1くらいになってしまいがちなので、自宅が沿線でなければBTSの利用も少し面倒だ。
お天気のことを気にしなくていい快適な移動で重宝する。
値段も、2003年頃には初乗り50バーツの賃上げが騒がれたが、今のところ35バーツを守っている。ただ、
・ タイ語ができないと改造メーターや交渉などでぼられる心配があること
・ 渋滞に飲み込まれること
・ 乗車拒否があること
・ 急なスコールなどで売り手市場になった場合、言い値でない乗車できない場合があること
・ ドライヴァーが道を知らない可能性がけっこうあること
・ キックバックがもらえる店に案内しようとするドライヴァーもいること(特に旅行者は対象になりやすい)
・ ドリアンを持ち込むのを断られることが多いこと
といったデメリットもある。
ただ、カーラジオから流れてくるルーク・トゥン(タイの演歌)を聞きながら、運転手のおじさんと気さくな話をして目的地に向かうのは悪くない気分だ。
「ラジオで洋楽が聞きたい」「もう少しエアコンを弱く」「荷物を助手席においてほしい」などのリクエストにもほとんどの場合応えてくれる。

一般的に、バンコク〜アユタヤーなどの長距離運転はメーターを使用せず、ドライヴァーとの直接交渉になるが、これはタクシーにとって帰りの客が拾いづらいので、「交渉で値を吊り上げようとしている!」と怒るのはフェアではない。
セダン・タイプの新しい車種のタクシー(例:右掲写真)は、ドライヴァーが半日600バーツ程度で借りているものが多いので、長距離運転を避けようとするかもしれない。
パタヤーからバンコクへのタクシー便は繁華街のいたるところで取次ぎスタンドを見かけ、値段は800Bが主流だが、なぜかバンコクからパタヤーに向かうと安くて1000バーツ程度に落ち着く。

⇒こんなときには、タクシー
@ 高速道路を使いたい
A 雨が降り出した
B 汗をかきたくない
C 詳しい場所がわかりづらいので、あたりで尋ねてほしい
D まっすぐに目的地へ向かいたい
E 駅や停留所が近くにない
F 荷物が重い
G のびのびと移動したい
H 世間話でもしながら目的地に向かいたい


B トゥクトゥク(サーム・ロー)

タイらしい乗り物として名物化しているトゥクトゥク
そのかわいらしい呼び名は、エンジン音から来ているのだという。
サーム・ローはタイ語で三輪車という意味で、四輪の軽自動車タクシーをシー・ロー(四輪車)、トレーラーをシップ・ロー(十輪車)と呼ぶ。
だから、地方でサーム・ローという呼び方をするとペダルで荷台つき三輪自転車を懸命にこぐおじいさんがやってきたりもする。
名物のわりに、トゥクトゥクには欠点が多い。
・ 窓や扉がないので、排気ガスにまかれたり信号停車時には特に暑かったりする
・ 雨が降るとビニール・シートをかけるので蒸し暑い
・ 三輪なので、横転しやすい
・ 運転の荒いドライヴァーが多い。
・ 交渉制なので、タイ語が話せないと特にぼられる心配が高くなる
・ 高速道路を走れない
・ 外観から意外なほど、車内から外の景色が見えにくい
・ エンジン音がちょっと大きい
・ ・ キックバックがもらえる店に案内しようとするドライヴァーにあたる率がタクシーより高い(特に旅行者は対象になりやすい)

⇒こんなときには、トゥクトゥク
@ ドリアンなど、匂いの強いものを持って帰りたい
A 荷物がタクシーでは入らない大きさである(シー・ローは特にテレビや冷蔵庫くらいまでなら平気で運んでくれる)
B 名物なので乗りたい
C 風に吹かれたい


3 バスでの移動

A 市内+郊外路線バス

バンコク市営バスが市内から郊外までを網羅している。

・車掌や運転手には多くの場合英語が通じない
・やたらと路線がある
・バス停には行き先表示がない
・バス系統番号が同じものでもバスの色や種類によって行き先や経路が違ったり、高速道路を走ったりするものもある
・時には、途中の車庫付近などで客を降ろしてしまうこともある
・決まった時間に来るわけではない
など、初心者にはなかなか難しい乗り物だと言われる。
ただ、原油価格の高騰で最低運賃が2倍近くに跳ね上がったものの、非常に安価な乗り物である。
このバス運賃が物価や労働賃金に反映されるため、迂闊な値上げができないためだ(ただし、赤バス・青バス・白バス・2両連結型白バス・オレンジバス・紫バス・小さな緑バスなどがあり、料金体系も快適度に比例して差がある。冷房のないバスの多くは定額制、冷房のあるバスは距離にしたがって料金が増えるシステムになっている)。

また、庶民の生活が垣間見られるという利点もある。
老人や妊婦・子供にまで席を替わってあげたり、座っている人が大きな荷物を持って立っている人の荷物を膝に置いてくれたりする姿を最も多くみられるのも嬉しい。

市内バスのみならず、タイではバスに車掌が乗務している。金属製の長い円筒形をしたものをカタカタ鳴らしている人がそれで、その中に領収書代わりの切符やお釣り用の小銭が入っている。

タイのフリー・ペーパーとして有名なDACOが出版している「バンコク・バスマップ」は、日本人が重宝しそうな路線を厳選して路線紹介をしていて、非常に使い勝手がいい。

⇒こんなときには、市営バス
@ とにかく安く済ませたい
A 庶民の生活を肌で感じたい
B 専用レーンがある路線を利用して渋滞を回避したい

B 長距離バス

街と街とを結ぶ長距離路線バス網は、かなり整備されている。
バス公社のほか、民間業者によるバスも多く、VIPバスなども存在して、快適なバスの旅が楽しめるだろう。
また、鉄道より本数も多く、「バス・ターミナルに行けば何とかなる」という感覚。
ただ、リクライニングの故障やカップ・ホルダーの破損などには目をつぶらなければならないこともしばしば。
クーラーの効きすぎが予想されるので、上着の用意はしっかりしておいた方がいい。
特に地方都市と地方都市を結ぶ路線は旧型車両が多く、中には噴き出し口周辺が凍っているようなものもある。

民間業者の長距離バスには、行程の中ほどでトイレ・食事休憩をとるものもある。
また、給油は客を乗せたあとにされることが多い。
思うように乗客が集まらなかったときには、ゆっくり走りながら途中で乗客を拾おうとする姿もよく見るが、これは公社バスでも同じである。

⇒こんなときには、長距離バス
@ 飛行機よりも安く済ませたい
A 目的地、あるいは出発地に鉄道が通っていない
B あまり出発時間を気にせず行動したい
C 車窓の風景を楽しみたい

C ソイ内のミニバス・ソンテウ

長めのソイの中を走る小さな定額制バスがある。
手を挙げればソイの中のどこからでも乗せてくれて、ブザーを押せば適当な場所で降ろしてくれる。
こちらも時刻表があって運行されているわけではないが、往復頻度の高い路線が多い。

また、ソンテウと呼ばれる、ピックアップの荷台に座席を取り付けたものがソイやその外を巡回しているものが多い。
こちらにもブザーがあるが、降りる場所の位置を車内から見て分かる可能性が低い場合は、あらかじめ運転手に相談しておくのがベター。
けっこうな確率で止めてくれる(バスでは忘れられていることが多い)。

⇒こんなときには、ソイ・バス
@ バイク・タクシーよりも安く済ませたい
A パーク・ソイに出たいが、雨が降ってきた
B 手早くソイの全貌をつかみたい
C 庶民の生活を肌で感じたい


4 鉄道での移動

A バンコク市内高架鉄道(BTS)

2000年に開通した、タイ初の市街鉄道。
全線高架になっていて、車窓の景色も楽しめる(反面、高架下となっている幹線道路では景観が悪くなっただけでなく、道幅の問題もあって排気ガス臭がひどくなった)。
これまでバスやタクシーが主だったバンコクでは、渋滞知らずのBTSの登場は近代化を強く感じさせたものだ。

プラスチックの座席はいただけないが、ロング・シートではなく一人分の座席が決まっているので、座りやすい。

⇒こんなときには、BTS
@ できるだけ定時に到着したい
A 渋滞に煩わされたくない
B サイアム駅・国立競技場駅周辺に出たい
C バンコク市街を少し高いところからあちこち見てみたい
B バンコク地下鉄

2004年7月に開通した、タイ初の地下鉄。
今のところ全線地下式だが、予定されている郊外線では高架で建設される部分もある模様。
ホームにも扉が設けられており、安全面も考慮されている。
開通してからしばらくは携帯電話の電波が届かなかったが、現在は良好。

こちらもプラスチック座席だが、長時間乗車することがないので、さほど気にならない。

⇒こんなときには、地下鉄
@ できるだけ定時に到着したい
A 渋滞に煩わされたくない
B ホアランポーン駅・ラチャダー通り周辺に出たい
C タイ国鉄

日本では明治時代の1894年にバンコク〜コラート(ナコーン・ラーチャシーマー)間が開通(日本で東海道線が全通した5年後)。
鉄道業務としては旅客よりも貨車運行がメインだが、旅客車両の便数はけっこう多い。
主だった路線には寝台列車も完備され、値段も飛行機よりかなり安いので、人気が高い。特に、タイの休日と重なる場合には、先にチケットを予約しておくのが無難。

等級の低い車両では窓を開けられる解放感もある。
都市部で軒を接するように迫る民家の様子を伺うのも、旅情がかきたてられるだろう。
席を立ってからだを自由に動かすことができるのも列車ならでは。
また、こうした解放感からか、列車の旅では近くの席の人と気軽に話の花が咲くことが多い。

ただし、2007年あたりから座席・寝台に発生した南京虫やダニによる被害報告が聞かれるようになった。
タイ国鉄はシートの取り換えなどの対策を打っているが、乗車前には現状をインターネットなどで確認しておくのが無難だろう。

なお、ホアランポーン駅正面入り口および構内には案内人が数多く配備されている。
異国での「自称ガイド」の接触に警戒心をにじませるのは当然だろうが、ここには案外、実は旅行代理店の客引きや見返りを要求する類は少ない。
正面から入ると右奥にインフォメーション・センターがあるので、行き先を告げれば、その方面行きの最新の時刻表がもらえる。

⇒こんなときには、国鉄
@ 飛行機よりも安く済ませたい
A 車中で横になって寝たい
B 座席にずっと固定されたままはいやだ
C 車窓の風景を楽しみたい
D タイ人や旅行客と知り合いたい


5 ボートでの移動

タイでの旅客ボートには、次のような種類がある。

A 長距離ボート
タイ北部のファーンからボートで流域の街を訪れることができるほか、バンコクと古都アユタヤーを結ぶボートが就航している。
バーンパコン川を行き来する船もあると聞いたが、未確認。メコン川には、タイ発着の長距離ボートはない。

B 中距離ボート
バンコクのチャオプラヤー・エクスプレスなどのように、通勤の足として活躍しているものがある。
チャオプラヤー・エキスプレスは急行・特急にあたるものがあり、旗の色によってそれぞれを確認することができる。乗車の際には注意したい。

C チャーター・ボー
有名なものはサパーン・タークシン駅下に多い外国人観光者用のハーン・ヤーオ(ロング・テール・ボート)だが、コ・クレットなど、タイ人観光客が多いところにもいる。
乗船前にしっかり交渉しておかないと、あとでもめごとの種になる。

D 観光船
サーム・リアム・トンカーム(ゴールデン・トライアングル)での遊覧船が有名。

E 運河ボー
渋滞知らずの移動方法として親しまれているのが運河ボート。
料金も安い。
マハカーン砦のたもとからラームカムヘーン通りまでを結んでいるものが有名。
乗降時に落ちてしまうと悲惨なことと、乗っている間にも異臭が漂うのが難点。
また、雨季などの増水時は揺れも激しい。
しぶきを浴びないようにするため、進行中は船端をシートで覆うため、視界は不良。

F 渡し船

かつては「東洋のベニス」とたたえられたバンコクのこと、渡し船はあちこちで出ている。
大きな橋のたもとからも出ているので、自転車で川越えするときには非常に便利。
チャオプラヤー川など、タイがを超える渡し船は風が気持ちいい。
料金も格安。

⇒こんなときには、ボート
@ 渋滞から逃れたい
A 自転車などを対岸まで運びたい
B 川風に吹かれたい
C いつもと違う風景を楽しみたい


6 レンタル・バイク/バイクタクシーでの移動

タイにはバイクタクシー(略称「バイタク」)が存在する。
暑い季節がほとんどであるこの国では、ちょっとした距離の移動にもバイクタクシーを利用する機会が多い。
料金はだいたい初乗り10バーツ程度から。
ドライヴァーがOKしてくれたらどこまで遠くてもかまわないが、おおむねソイ内か、半径1キロ未満までの移動に利用される。

また、バイクタクシーにはメッセンジャーのように、荷物運びの請け負いという業務もある。
時間を指定して、所定の荷物を送り届けてもらったり、買い物を頼んだりすることもできる。

どの乗り物でも同じことが言えるが、バイクタクシーの場合は特にやたらと英語を話そうとするドライヴァーには注意した方がいい。
高い割合でぼるからだ。
また、バイクタクシー運転手は必ず数字が書かれたヴェストを着ている。
これを着用していないバイクから声をかけられてもきっぱりと断りたい。
こうした白タクならぬ白バイタクには悪質なものもいる。

バイクタクシーは小柄さを生かし、渋滞のすり抜けをする。
ありがたい場合も多いが、危険も多い。けがをしても保証はないので、恐いと思ったときにはスピードを緩めてもらうか、降りることも考えた方がよい。
筆者の場合は、2台の車の間をすり抜けた際、膝をぶつけて2倍くらいに膨らませてしまったことがある。
その他、雨季には特に、雨が降った場合のことも想定しておいた方がよい。

バイクにはヘルメット着用義務があるが、ソイの中を出ないときにはノー・ヘルメットでよいという規則がある。

レンタル・バイクはチェンマイやパタヤーなど、観光型都市に見られる。2000年頃までは運転免許証の確認なしに乗ることができたし、警察も外国人の取り調べをほとんどしていなかったようだが、現在の状況はよくわからない。
多くの場合、デポジット代わりにパスポートを店に預けることが多いので、パスポートの提示が必要な場所にレンタル・バイクで行く予定は立てない方がいい。
破損した場合にはもちろん修理代がかかるが、大きくない破損であれば、返却前に自身で修理屋に出してしまった方が安くつくうえ、文句を言われることもない。

自家用やレンタル・バイクでの交通上の諸注意は先に挙げた「1 車での移動」欄をご参照いただきたい。

⇒こんなときには、バイクタクシー
@ 渋滞をすり抜けたい
A ソイなどを少しの距離だけ走ってほしい
B 荷物を運んでほしい


7 サーム・ローでの移動

バンコク市内ではサーム・ロー(人力車タクシー)の営業が禁じられているという。
しかし、そうはいっても人通りが少ない場所ではごくたまに見かけることがある。
また、チャオプラヤー川を隔てたプラプラデーンなどではバイク・タクシーと半々ぐらいの割合で待機している姿を見かける。
パーク・ソイごとに棲み分けがされているようで面白い。

トゥクトゥク同様、排気ガスや雨の心配があるときには快適だとは言い難い。
日差しが強い時にはクーラーのきいた車内が恋しくもなる。
ただ、サーム・ローで緩やかな風を浴びながら町並みを眺めていると、旅ではないときであっても旅先にいるような豊かな気分に浸れる。
分刻みで生きている日常を忘れ、人が人らしくいられる速度でひと漕ぎひと漕ぎ進んでゆくサーム・ローに揺られると、辻の脇での立ち話さえ聞こえてくる。

地方ではまだまだ現役のサーム・ロー。
モータリゼーションの進むこのタイでも、できるだけ長生きしてほしい。

⇒こんなときには、サーム・ロー
@ 町並みを近くに感じたい
A ゆったりとした気分になりたい


8 自転車での移動

タイではあまり自転車を見かけない。
バンコク以外の街では中学生くらいの年齢の少年・少女がバイクに乗っている姿を発見できるくらいなので、庶民的な雰囲気があるうえ、実際に運転すると大汗をかく自転車は、タイではあまり好まれないようだ。
夜には野犬の標的になりやすいことや、安価な自転車は設計が悪くて尻や腰・手などに負担が大きいこともある。
バンコクではここに路面や歩道整備の悪さ、交通上の危険性、自転車盗難の多いこと、ショッピング・モールに駐輪場がないなどが理由として加わる。

ただ、近年は健康ブームとともに、自転車を見直す動きもある。
ただし、これらは公園でジョギングの代わりにサイクリングをするという側面が強い。
バンコクでは自転車利用を推進し、2003年頃から歩道に自転車道を示す白線を歩道上に設けたり、BTS駅の階下に駐輪用の輪留めを設置したりしているが、生活の交通手段としては自転車の活躍はまだまだ遠そうだ。

筆者はかつて、バンコクで自転車を利用していたが、快適に走ることができるのは深夜の大通りを走る時だけであった。
ただし、小回りが利くので、あまり不動産屋が紹介に積極的でないアパート探しなどでは大きな力を発揮してくれたことは報告しておく。

レンタ・サイクルはチェンマイやアユタヤーなど、観光都市に見受けられる。
デポジット料金をデポジット料金を徴収されるか、パスポートなどを店に預けて借りることができる。
この場合、先にも述べたとおり、バランスが悪い作りのものが多いので、無理な長距離移動を予定しない方がよい。

⇒こんなときには、自転車
@ アパート探しなど、小回りをきかせたい
A 公園で汗をかきたい


9 徒歩での移動

暑季にはきつい日差しと高い気温、雨季にはスコールと蒸し暑さ。
日中の街歩きは思いのほかきつい。
タイでは車優先社会であるために、交通的には最下層に位置することになるし、夜更けに人が少ない通りでは危険も考えられる。
また、バンコクではことさら市街地に人が混みあうし、歩道がない道も多い。
また、あったとしても路面のコンディションが悪くて、共同溝のふたが開いていて足を取られたり、タイルがグラグラになっていて思わず足をひねりそうになったりもする。
あちこちで看板や電柱・屋台・公衆電話などが歩道を通せんぼしているのも事実。
旅となるとこうしたことが新しい驚きや発見になり楽しい思い出になったりするが、長期滞在者や在住者にとっては、日頃なまった体を動かすことと、紫外線を浴びながら排ガスにまかれて歩くことと、どちらが健康に良いのかわからなくなってくる。

ただ、乾季は寒季とも呼ばれ、気候的には散歩にもってこいだ。
「寒季」とはいっても、バンコクあたりなら日本人の感覚でいえば秋。雨もほとんどなく、空気もからっとしていて体を動かすにはちょうどいい。
また、バンコクを離れると、とたんに夜の気温が下がる。
クーラーの室外機などの排熱が減り、コンクリートやアスファルトで覆われている率が低くなるせいだろう。
日が傾くと人々が表に出てきて縁日のような雰囲気が屋台街を包む。
車もさほど多くない通りでは、夕闇の頃の散歩がとても気持ちいい。

雨季には、スコールになったときとそうでないときの差が激しいので、注意が必要だ。
タイでは天候の変動が速く、雨季には傘を用意しておくのが無難である。
この時期、スコール以外にも、車の水跳ねには要注意。
タイは完全に車優先社会なので、通行人がいようとも、水しぶきの跳ね上げには容赦ない。
水たまりの確認できる場所では、車が近づいたとき、傘を横に構える用意をしておいた方がよいだろう。
上に紹介した路面タイルがぐらぐらしているところでは、踏みつけたらタイルの下にたまっていた水が噴き出してきたりもする。

夜間には野良犬に注意したい。
昼時にはまったくやる気の感じられなかった野良犬たちは、夜には徒党を組んで集まってくると手ごわい相手になる。
大通りにいる犬は人間との関係を比較的心得ているので安心だが、人気が落ち着いているソイの中では注意した方がよい。
もししつこく吠えたてられたり囲まれそうになった場合は、しっかりと犬の眼をにらみつけ、日本語でもいいので大声をたてて叱りとばした方がいい。
犬が唸り声を小さくするまで続け、ゆっくり歩きだす。
その際にまた吠えられたら、すぐさま振り向いて同じことを繰り返す。
バカげたことを書いているようだが、逃げ出すと噛まれる可能性があることを忘れてはいけないはずだ。
ただし、明らかに狂犬病である犬はおかまいなしに飛びかかってくる場合もあるので、要注意である。

⇒こんなときには、徒歩
@ いい時間の散歩
A 渋滞しているときの、最寄り駅までのアクセス
B 乾季の間


10 飛行機での移動

バンコクは東南アジアの要所に位置し、タイのちょうど真ん中あたりにあって、国際線・国内線を問わず離発着が多い。
また、東南アジアを拠点とした格安航空会社が数社あるほか、タイ航空など大手フライトにも当日割引が存在するなど、日本よりもずっと気軽に利用できる感覚がある。

空港と街とのアクセスに関しては、日本人にとって鉄道路線の整っていないことが気になるかもしれないが、タクシー料金の安いタイでは、目的地を告げるだけでその場所まで直接送り届けてくれるのでかえって便利である(渋滞だけはいかんともし難いが)。
バンコクではスワンナプーム国際空港と市街地を結ぶエアポート・リンクが走っている。
この路線はパヤタイ駅でBTSと、マッカサン駅で地下鉄ベップリー駅とも連絡。
マッカサン駅では事前にフライトのチェック・インもできる。
ただし、本数がやや少ないのが難点。

A 国際線

旅行代理店ですぐチケット予約ができる。
Eチケット制度が整備されてからは発券がいっそう便利になった。
タイの市街地ではおおむねすぐに旅行代理店を発見することができる。
中には悪質な会社もあるようなので注意したいが、筆者自身はそのような目にあったことがない。

フライト時間は日本まで6時間、香港・モルディブまで4時間、マニラ・ジャカルタ・カトマンドゥー・デリーまで3時間、シンガポール・コルカタ(カルカッタ)まで2時間半、ハノイ・昆明・クアラルンプールまで2時間、ホーチミン(サイゴン)まで1時間半、ヴィエンチャン・プノンペン・ヤンゴンまで1時間ほどである。
日本までだとさすがに機内で退屈するが、4時間以内のフライトであればそれなりに快適な移動だといえるだろう。

エア・アジアをはじめとする格安航空だが、本当に格安に移動するには事前の予約が必要。
出発日からできるだけ前の段階でチケットを押さえておけば、信じられないような価格で利用できることも多い。
また、これらの会社は一般的な旅行代理店のオンラインでは予約できないようになっているので、クレジット・カードなどを利用したブッキングや、空港・ショッピング・センター内などにあるブースで求めるよりほかない。
格安航空便ではドリンクなどの機内サービスはすべて有料なので、100ミリリットル未満となっているドリンクの持ち込み制限がある現在、この点に気をつけておきたい。
また、荷物はできるだけ手荷物にして機内持ち込みをする方がよい。
預けた場合、扱いが悪い場合が多く、荷が別の都市に運ばれてしまっているケースも通常便より多い。

B 国内線

こちらは旅行代理店を通してもほとんど値段が変わらないので、空港で直接チケットを購入してもかまわない。
出発直前に空席のある場合、割引が適用される場合もある。

フライト時間はどこでも1時間前後なので、あっという間である。

ウタパオ空港は別名「パタヤー空港」とも称されるが、パタヤーからの距離は相当あり、ミニバスで40分ほどかかるので注意が必要。
また、ブリーラム空港も同様に、ブリーラム市街から30q離れていて、移動は同じくミニバスだけが頼り。

サムイ空港のように、個人所有空港では国内線でも使用料がとられるが(サムイ空港は400バーツ)、オープンエアーの空港でなかなか趣がある。

⇒こんなときには、飛行機
@ とにかく速く移動したい
A 海外に出たい
B 快適に移動したい




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